白熱するロンドン・オリンピック。日本選手団はこれまで、金メダル2個、銀12個、銅14個と健闘を続けている。
開幕前から注目を集めていたのは、昨年の女子ワールドカップ・ドイツ大会で強豪アメリカを制し見事世界一に輝いた「なでしこジャパン」だ。今もあの時の感動を思い出すと鳥肌が立つ。彼女たちの勇姿は、震災後の日本に勇気と希望を与えてくれた。
当然彼女たちは今回の五輪で優勝候補。6日の準決勝戦では、2対1でフランスを制し、初の決勝進出を決め、日本女子サッカー史上初となる銀メダル以上が確定した。国民誰もが今、なでしこたちの金獲得を願っている。
快進撃を続けるなでしこだが、五輪に向かう飛行機の座席はエコノミークラス。同乗していた男子代表団はビジネスクラスだったという。厳密に言うと女子代表は昨年の業績もあり、プレミアムエコノミークラスに格上げされたというが、それでもビジネスクラスとは差がある。
日本オリンピック委員会の規定では、日本代表の移動手段はエコノミークラスとなっているが、日本サッカー男子代表は1996年のアトランタ五輪以来、日本サッカー協会から援助があり、ビジネスクラスで移動しているという。
この待遇に対し、ABCニュースをはじめ欧米メディアが、「業績からしても、なでしこが飛行機の席で男子より格下なのはおかしい」と痛烈に批判。ちなみに日本女子のランキングは世界3位。男子は20位で68年のメキシコ五輪での銅メダル獲得以来、メダルをとっていない。
「年齢的に私たちの方が年配だから、逆でもよかったけど」。良性発作性頭位めまい症と診断され、長時間のフライトには不安があったであろう女子代表の澤穂希主将(33)は、笑顔でこう答え、決戦の舞台へと飛び立っていった。
「女子W杯で優勝した時は帰路がビジネスになった。今回も結果を出してそうなれば」。なでしこたちは9日、金メダルとビジネスクラス両方の獲得を狙う。【吉田純子】