日本貿易振興機構(JETRO)ロサンゼルス事務所は9日、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)と共同で実施している「南カリフォルニア日系企業実態調査」の結果を日系メディアに発表した。同時に、今年4月に就任した同事務所の吉村佐知子所長があいさつに立ち、今後の活動内容についての説明を行った。
 調査は、南加地区に拠点を持つ日系企業の事業状況や経営環境を把握するとともに、各企業のビジネス活動の円滑化や理解促進に役立たせることを目的に1983年に始まり、今回で10回目となる。

同事務所の今後の事業展開について説明する吉村佐知子所長
 今年2月から3月にかけて、南加地区の日系企業700社を対象にアンケート調査を実施。前回(2010年)と比べ、4割以上の企業で売上高が伸びていることが分かった。また多くの企業が、カリフォルニア州でビジネス展開する魅力として、「市場の大きさ」「物流拠点」「日系社会の大きさ」と答えていた。
 一方、加州での業務執行上の障害や不満として、「雇用コスト」や他州と比較して高い「税率」などが挙がった。
 JETROのロサンゼルス事務所の主な活動分野は「農林水産・食品」、エンターテインメントなどの「コンテンツ」「環境・エネルギー」「デザイン」「ファッション」「在外日系企業支援(中南米支援など)」「イノベーション・インキュベーション」。さらに新たな分野として「サービス産業」も加わり、日本から進出を図る飲食店などを全面的に後押しする。
 吉村所長は進出企業に対し「当地での支援を中心に行っていく」と述べ、今後の事業展開については、日本からの輸出促進にも力を入れていくことを明らかにした。またミニレポートやセミナー開催などを通して、「日系企業への情報提供にも努めていきたい」とした。

 吉村佐知子(よしむら・さちこ)所長の略歴=東京都出身。上智大学文学部英文学科卒業後、1988年4月にJETRO入構。海外調査部や経済分析部に所属し、おもに中小企業の海外進出を支援。進出企業支援・知的財産部で知的財産課長を経て、現職。【吉田純子、写真も】

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