1968年創設のいけばな小原流ロサンゼルス支部(林田美那子支部長、会員約125人)は10月27、28の両日、小東京にある日米文化会館のドイザキ・ギャラリーで支部花展「錦繍の秋」を催した。
2年に一度開催される同花展の会場には、正原正風教授と河村玲芽教授がデザイン、会員らと協力して作り上げた晩秋から初冬を表現した琳派調の大作を含め、自然の景色を水盤の中に再現するようにいける写景盛花や、植物の色や形を表現することを主にした色彩盛花、中国の文人趣味を背景にした格調高い文人調いけばななど、教授や生徒が製作した多様な花茎のいけばな計70点が展示され、訪れる人々の目を楽しませるとともに、ひとときの安らぎの空間を提供した。
今年で創設44年を迎える小原流ロサンゼルス支部には現在、10代から90代までの幅広い年代の会員125人が在籍している。ほぼすべての教室で英語による指導を行っており、日本人や日系人に限らず、さまざまな人種の生徒に親しまれるまでに成長した。支部創設当時は日本総領事館らの支援もあり、デモンストレーションや作品展示などを各地で催し、いけばなの魅力が自然とアメリカ社会に広まったという。
8年前に支部長に就任した林田さんは、小原流の魅力を「古い伝統をしっかりと守りながら、住居環境などの変化に合わせた新たな花茎も発表するなどバラエティーに富んでいること」と話す。また、アメリカの地にこれだけ浸透した理由として、「自然風致を生活環境に取り入れ、ほっとする空間の中で(お花の)一瞬の命を分かち合う楽しみが、国籍、人種を超え、いろいろな方に理解されていったのではないか」と話し、いけばなを通じ、アメリカや世界に日本文化を発信できることを誇りに思うと述べ、これからも草の根的な活動を続けていきたいと意欲を述べた。
正原教授のもとで指導を受けているミルナ・デラ・クルズ・カスティロさんは、ビジネスで以前千葉県に在住していたという夫、カルロスさんと会場を訪れ、70点のいけばなを堪能した。
ミルナさんは、「花の位置、見せ方、スペースの使い方…すべてにアートがあり、やればやるほどその魅力を感じる」と述べ、いけばなからは「忍耐」を学ぶとともに、「私の一番のストレス解消法」と話した。
【中村良子、写真も】