ロサンゼルスは先月、商業目的に繁殖された犬猫、ウサギのペットストア販売を禁ずる条例を承認した。ウエストハリウッドでは2年前から施行されており、大手チェーンペットストアはすでにアダプション以外の目的で犬猫の販売を自粛している。
 背景には、非人道的に、また不衛生な状況下で子犬などを乱繁殖する生産工場パピーミルズの撲滅、シェルターの慢性的な過密状態からの脱却、もらい手のないペットの安楽死を減らし、アダプションを推進するといった目的がある。
 シェルターから犬をアダプトしてきた愛犬家の1人として、ペットショップでもアダプションを推進することで、飼い主の勝手でシェルターに持ち込まれ、もらい手が見つからないために安楽死させられる罪のない動物が少しでも減るのは大変喜ばしい。
 しかし、ペットストアによる犬猫の販売を規制することで表向きはペット数が減るかもしれないが、ネットなどで売買される「裏取引」が増える危険もあり、この条例がペット社会の根底にある問題「過剰に増え続けるペット人口」の特効薬にはならない。
 全米で生まれる犬猫の数は年間1200万匹以上と言われる。これには、免許をもった正規ブリーダー、子犬生産工場パピーミルズ、飼い主による違法自宅繁殖(バックヤードブリーディング)が含まれる。
 自宅で繁殖するには免許が必要なことや、ペットを路上で販売する行為が違法であることを知る人は意外と少ない。誤って妊娠させてしまった場合、一匹から生まれる2~6匹の子全部が必ずしも責任ある飼い主にもらわれる保障もなく、何人かの手にわたった後、結局シェルターにたどり着くことも多い。
 このように、知らずして法を犯していたり、間接的にペットの安楽死に加担していることもあるため、大切なのはやはり飼い主の教育。人間の人口を超え、無駄に殺されるペットを減らすためにはまず、飼い主がペット社会の現状やそれにまつわる法律を学び、責任ある行動をとる必要がある。【中村良子】

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