ロサンゼルス市議会は7日、米国の在留資格や住所の確認を必要とせず申請できる顔写真付き身分証明書の発行案を12対1で承認した。これにより、不法移民や住所のない路上生活者なども銀行口座開設や図書館で本の貸し出しなどができるようになる。
 市議会は現在、同プログラムの運営を委託する第三者機関を探している。また同カードを正式な身分証明書として認めるかは、警察など司法当局が決定する。
 「ユニバーサルシティー・サービスカード」と呼ばれる同カードは、持ち主の顔写真が貼付されたデビッドカード付きの図書カードで、ロサンゼルス市内に在住している人であれば誰でも申請が可能。
 同案を支持するリチャード・アラコーン市議は、「(同カード発行により)市内に生活する40万人以上の不法移民も日の光を見ることができる」とし、「カードを所持することで現金を持ち歩かなくてもよくなり、強盗などに襲われる可能性も低くなる」として、その必要性を訴えた。
 同様なシステムは、サンフランシスコやオークランドなどですでに採用されており、アントニオ・ビヤライゴーサ・ロサンゼルス市長をはじめ、ヒスパニック系やアジア系などの移民人権団体らも強い支持を表明していた。
 一方、唯一反対票を投じたミッチ・イングランダー市議は、市が抱える危機的な財政状況の中、新たなプログラムを一から始めるのは適切ではないとし、財政難解決が先決と主張した。
 一部市民からはかつて、「不法移民に対する恩赦と同様」との声があったが、採決が行われたこの日の議会で反対意見を述べる市民はいなかった。

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