奨学金授与式で受賞者の井上さん(右から2人目)に奨学金を授与した目良さん(右端)、吉成会長(左端)とレヴィンさん(左から2人目)
 女子教育の向上や日米の文化交流、地域社会への貢献などを目的に活動する大卒女性の会「AAJUW(American Association of Japanese University Women)」(吉成ジェーン会長)は1月27日、小東京のダブルツリー・ヒルトンで、新年総会と奨学金授与式を開催した。およそ50人の会員が出席する中、今年度の受賞者、レヴィン・梨紗さんと井上知香さん2人に対する奨学金の授与が行われ、恒例となっている講演会には帰省中、気仙沼市で被災したロサンゼルス在住の鵜浦真紗子さんが自らの体験や被災地の現状などを語った。
 同会は年間を通して音楽会やバザーを開催し、その収益を今後の未来を担う有望な女性への奨学金資金に充てている。同会からはレヴィンさんに奨学金として2000ドルが授与された。
 レヴィンさんはカリフォルニア大学バークレー校で比較文学を専攻する4年生。副専攻でフランス語、音楽、クリエイティブ・ライティングを学んでいる。米国人にはあまり知られていない日本文学の美しさや複雑性を広く伝えたいと日々勉学に励んでいる。
 井上さんは南カリフォルニア大学大学院の2年生で、サクスホン・パフォーマンスを専攻している。クラシック・サクスホンの演奏を通じて日米の懸け橋になることを望んでいる。
被災した時に履いていた運動靴を見せる鵜浦さん。偶然この運動靴を履いていたおかげで走って逃げることができたという
 昨年、同会のメンバーとして奨学金選考委員長も務めた目良正子さんが他界。夫の浩一さんら遺族が本人の意志を継ぎ基金を設立し、同会がその最初の奨学金を受け取った。同奨学金は家族愛、創造的芸術、多国籍文化の教育の向上のために使われることを目的としており、今回は井上さんが音楽の分野で優れた活動をしていることが評価され、同基金から2000ドルが授与された。
 受賞者2人は、温かなサポートに感謝するとともに、今後も勉強に励み、将来の夢に向かってまい進することを誓った。
 あいさつにたった吉成会長は、奨学金資金を捻出するため、バザーなどに積極的に参加した会員に感謝の気持ちを表すとともに、「今後も優秀な女性を応援していきたい」と語り、今年の受賞者2人の活躍に期待した。
 続いて鵜浦さんが「復興の力『ふるさと東北の粘り強さを信じて』」と題した講演を行った。
 「あと3秒逃げるのが遅れていたら、私はおそらく今ここにいなかったでしょう」。鵜浦さんの人生観は震災後に変わったという。「『Before I die, I wanto to~』その後に続く言葉を考えてみて下さい」。参加者にそう語り「死ぬ時から今の自分を見つめ、自分が今何をしたいのか考えることが大切」と訴えかけ、震災のすさまじさを伝えるとともに、東北への継続的な支援を呼び掛けた。
 最後に奨学金受賞者の井上さんがサクスホン演奏を披露し、会員らは美しい音色に聞き入るとともに、交流を深めた。 【吉田純子、写真も】
奨学金受賞者を囲み、参加者全員で記念撮影

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1 Comment

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  1. お写真がそれぞれによく撮れていてよいですね。会員全体のお写真はもし希望者は購入ができるのでしょうか?