研修を通して学んだことを語る佐賀県使節団参加者(右端)とそれを聞く佐野常民記念海外派遣事業の参加者(右から2人目)と佐賀県人会メンバーら
 南加佐賀県人会(中西和彦会長)が主催し、佐賀県に所縁のある大学生がカリフォルニア州で起業家精神を学ぶ研修プログラム「佐賀県海外使節団」の一行が9日、ロサンゼルスを訪れ、パロスバーデスのロスベルデス・ゴルフコースで歓迎会が行われた。同会の会員や関係者などおよそ50人が集い、訪米した若者を温かく迎え、交流を深めた。

「世界を舞台に活躍する人材が今後も増えてほしい」と語る中西佐賀県人会会長
 同プログラムは未来を担う若者にグローバルな視野を養ってほしいとの思いから行われている。佐賀県出身者など同県に所縁がある大学生であれば応募することができ、厳しい審査の後、今年は9人が選ばれた。一行は4日から17日まで、シリコンバレーなど北加やロサンゼルスで、企業やNPO団体、医療・教育機関を訪問し起業家や研究者らと面会。訪問先の業種はさまざまで、異なる分野を見ることができる貴重な機会となっている。
この日は同時期にロサンゼルスで研修を行っていた佐賀県庁主催の佐野常民記念海外派遣事業の参加者11人も合流した。同事業は同県の推薦枠で佐賀大学医学部に入学し、将来は同県で医師になることを目指す学生たちが韓国、米国、スウェーデン、イギリスを訪れ、現地の医療現場を視察し見聞を広めることを目的に実施されている。
 歓迎会では両プログラムの参加者たちがこれまでの旅で学んだことを語り合い意見交換が行われた。
 同使節団の団長の鶴柴ありささん(佐賀大学文化教育学部・国際文化課程)の将来の夢は小学校の教員になること。「先進国の教育現場を見てみたかった」ことが同プログラムへの参加のきっかけになったという。「海外で働く人の話を聞き、本当の意味でのグローバルな人材とは何かを学び、今後の教育活動に生かしていきたい」と意気込みを語った。
 美術を学ぶ上田美里さん(佐賀大学文化教育学部・美術工芸課程)は、「世界を舞台に活躍する起業家や芸術家と会い、視野を広めたい」と述べ、滞在中にロサンゼルス郡立美術館で美術鑑賞できるのが楽しみだと語った。
 同使節団は6割が自己負担で、4割が同県人会や日本の起業家、同プログラムの卒業生からの寄付で行われている。中西会長は「自分の故郷に海外で何かを学びたいと頑張る学生がいることがうれしい。将来リーダーとなる人材の育成に今後も励んでいきたい」と力を込めた。 【吉田純子、写真も】