「店員のマナーの悪さ」といったことはよく耳にする。「手伝ってくれない」「せかす」「客をほっといて内輪の話に忙しい」などなど。そういったところの店員は店内教育が行き渡っていないだけのことで、店主、マネジャーがしっかりしている所はTrader Joe’s のように店員も感じがいい。
ちょっと引っかかるのは、店員の悪口はよく聞くが、逆に客のマナーはどうだろうか。はたして客はちゃんとしているのだろうか。
あるマーケットでは、いくつもあるレジがみな長蛇の列。あるご婦人がカートに2、3個の品を入れて列に待つ。中ごろまで進んだころ、連れとおぼしき人が別のカートに商品を山盛りにしてご婦人と入れ替わる。ご婦人は少ない品のカートを押してどこかに置いてきたようだ。「皆、列で待っているのだから」と後ろに続く客たちが注意しても言葉が分からないふりをする。
あるマーケットの野菜売り場のお客さんたち。風邪が流行っていた時期でもあり、お互いに「私はこんなに苦しいのよ」とでも言いたげに文字通り身をよじって咳をする。とてもかわいそうだけど、せめてハンカチか袖口で口を押さえてくれないかな。その客たちのそばの野菜はさすがに買う気になれなかった。
試供品。後ろに待つ人の事を考えず、ひとりでごっそり、または横から手を出して持って行く人がいる。家族かお連れに渡すのかとおもえば一人で試している。ま、試供品だからどうでもいいけど。試供品はまだしも、商品を食い散らかす人たちも多い。欲しい果物やお菓子を手に取ると袋が破れていてあきらかに食べられた跡がある。
一袋いくらの品。袋を開けて他の袋から中身を移す。そこまでせこくしなくてもと、何だかおかしくなる。
店員に粗雑に扱われたお客の気持ちも分かるが、そういう扱いをされるのは毎回ではないと思う。またマナーの悪さというのも、単に国民性の問題かもしれない。われわれも知らず知らずのうちに何らかのマナー違反をしている可能性もある。人ごとではなく気をつけなければ。【徳永憲治】