奨学金の受賞者19人と青木会頭(前列左から5人目)
 南加日系商工会議所(青木義男会頭)を運営母体とする「日米修好百周年記念奨学金」の授与式と功労者顕彰式が27日、モンテベロのクワイエット・キャノンで催された。優秀な成績で高校を卒業し今秋、大学に進学する日系の子弟19人にそれぞれ1000ドルの奨学金が授与され、また同奨学基金で尽力する中村達司さんと妻けい子さんの功績をたたえ表彰した。
青木会頭(左)から賞状を授与されるカタリナ・ミヨシさん。右は寄付者の鞘野正一さん
 同基金は、日系子弟の育成を目的に1960年に日米修好百周年を記念し創立された南加日系社会最古の奨学制度。日商会員や日系社会の有志、日系企業からの寄付金を原資とする。授与式を毎年催し、今年までに、受賞者1675人に総額80万1950ドルを贈っている。
 青木会頭があいさつに立ち、同奨学制度について「日系社会で最も歴史の古い1つで権威がある。受賞は光栄なことである」と説明。「日系社会の将来のために、これからも貢献してほしい」と期待を寄せた。
 来賓を代表し、新美潤総領事が祝辞を述べ、同基金を賞賛し、基金の活動を支える中村夫妻の労をねぎらった。基金については「南カリフォルニアの日系社会の将来の世代のために極めて重要である」と強調。受賞者のさらなる活躍に期待を寄せ「日系人の若いリーダーとして実力を発揮してほしい。今後は、日米関係にも貢献してほしい」と願った。
 受賞者はみな学業では優秀な成績を収め、クラブ活動などでスポーツにも力を入れ、文武両道を行く。さらに、日系社会で奉仕活動に励む生徒も多く、将来が嘱望される。受賞者は1人ずつステージに上がり学歴と進学先、専攻などが紹介され、青木会頭から賞状を、同奨学金の寄金を行った13の基金や夫妻、個人からは、お祝いと励ましの言葉とともにチェックが贈られた。約100人の参加者は、日系社会を背負って立つ逸材に期待を込めた大きな拍手を送り祝福した。
受賞者を代表して謝辞を述べるケリー・タニさん
 受賞者を代表してトーレンス在住でUCLAに入学するケリー・アヤメ・タニさんが謝辞を述べた。奨学金の授与に「日系人としてとても光栄なことで、とてもうれしい」と謝意を表した。土曜朝の日本語学校や日系バスケットボールリーグ、日本でのホームステイなど、自身の日系社会と日本での貴重な体験を紹介し「4世の世代のわれわれが、将来の日系社会の発展のために貢献したい」と恩返しを誓った。
 顕彰表彰の中村さんは、故郷鹿児島の高校を出て渡米。当地の大学を卒業し、日系の銀行に勤めた後、ホテルを開業し成功を収めた。日系社会での奉仕にも精を出すなど、書道をはじめとする長年の社会貢献が認められ今年4月には総領事表彰を受けた。日商を通じた同奨学基金の運営は、南加日商元会頭の故伊藤謙治氏らとともに40年ほど前から携わっているといい「伊藤さんと一緒に長い間、頑張ってやってきた。奨学制度が今も続いていてありがたい」と、寄付者などの協力に敬意を表す。このたびの奨学生19人に向けては、自身の体験を踏まえ学業の重要性を説きながら「日系のアイデンティティーを誇りに持って社会に貢献してほしい」とエールを送った。【永田潤、写真も】
 ▽奨学金受賞者は以下の通り(敬称略)
 ブリトニー・チン、ジェイソン・フジクニ、ケイトリン・ハラ、トレイシー・ハラ、トモコ・イリエ、ハリソン・ジョング、アレックス・カネガワ、エミリー・マエダ、カタリナ・ミヨシ、リナ・オギノ、ケイシー・オカザキ、アルバート・オク、ダニエル・オオタ、エリー・サワダ、ブランドン・スコット、ケリー・タニ、テイラー・タニタ、アマンダ・ウォング、ミサキ・ヨシザワ

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