2匹の大型犬に襲われ愛犬を亡くして以来、守ってあげられなかった罪悪感に苦しみ、再び新たな命をレスキューすべきか深く傷ついた心と相談してきた。
アダプションやシェルターを訪れる日々が続く中、いまだに多くが身勝手な飼い主により捨てられ、安楽死させられている現状に胸が痛んだ。
とあるシェルターを訪ねた時、初老の男性ボランティアがかわいらしい6歳のプードルを指さし、こう言った。「『もう子犬じゃなくなったからいりません』といって、5、6歳の健康な犬をシェルターに持ち込む人は多いんだ」
さらには、帰り際に同じシェルターに収容されていた子犬を代わりに引き取っていく人もいると聞き、悲しみを通り越し、激しい怒りが込み上げてきた。
ペットフードや生活環境の改善などにより、犬の寿命は昔に比べて著しく伸びた。今では15年以上生きることは珍しくない。成犬の何が問題なのか? しつけは成犬でもできる。
次から次へと収容され、満員状態がなかなか解消されないシェルターでは、犬を保管できるのは2週間から20日程度だという。
しばらくしてシェルターのウェブサイトを見てみると、あのプードルの子の写真はなかった。無事にアダプトされたのか、それとも、もらい手がなく安楽死されてしまったのか、または、運良くレスキュー団体に保護されたのか。それは今となっては分からない。
その後立ち寄ったアダプションイベントで、5歳になるポメラニアンに出会った。片耳がちぎられている以外特に問題はなく、なぜ捨てられたのか分からないほどだった。
子どもの時に初めて飼ったのがポメラニアン。懐かしい気持ちで見ていると、ボランティアが話しかけてきた。「いい子なんだけど、5歳という年齢のせいでなかなかもらい手が見つからないの」。そのひと言に、新たな命を受け入れる準備ができた。
誰でも年を取る。これから10年、いやそれ以上になるかもしれないが、この子の世話をしていく決意をした。【中村良子】