途中再び紅葉の美しい景色が広がり、前日までとはまた違う秋を感じさせる眺めにうっとりしながら温泉地にたどり着いた。硫黄の香りと湯煙が立ちこめるダウンタウンにはサンファン川が流れ、日本の温泉地を彷彿とさせる景色が広がる。
宿泊したスプリングス・リゾート・アンド・スパには計23の天然温泉プールがあり、カ氏83度から114度(セ氏27度から47度)のそれぞれ違った温度の温泉が楽しめる。目の前を流れる川と遠くにそびえ立つ山々を眺めながら温泉に入ることができ極楽だ。
パゴサ・スプリングスにはある言い伝えが残されている。150年前に白人がこの地に初めて足を踏み入れた時、温泉の周りには無数の足跡があった。その足跡はネイティブ・アメリカンたちのもので、パゴサ・スプリングスは白人が来るずっと前から彼らの聖なる温泉として親しまれてきたのだという。
伝説によると、昔この地に住んでいたネイティブ・アメリカンの部族に伝染病がまん延した。部族の中で医者の役目を担うメディスンマンがどんなに手を施しても被害は拡大するばかりで治まらない。そんな中、部族の人々はサンファン川の川辺に集まってファイヤーダンスを踊り、疲れ果てて眠りに落ちるまで祈りの儀式を続けた。
硫黄の香りがする温泉には湯の花が浮かんでいる。翌朝、肌の状態をチェックしてみると、心なしか前日よりツルツルしているような気がした。聖なる温泉の効果なのだろうか。
3日目はユタ州、コロラド州、ニューメキシコ州、アリゾナ州の4州の境界線が交差するフォー・コーナーズを経由してユタ州南部からアリゾナ州北部にかけて広がるモニュメント・バレーへと向かった。途中、コロラド州にあるネイティブ・アメリカンの南ユート族の町、イグナシオに立ち寄った。
ユタ州の名前はユート族が由来している。この町で弊社英語部記者の友人で南ユート族のベティー、エディー・ボックス夫妻のお宅にお邪魔し、同部族に古くから伝わる祈りの儀式をしてもらった。
イグナシオには南ユート族の歴史や文化を紹介する博物館があり民族衣装や伝統音楽を奏でる楽器なども展示している。【吉田純子、写真も】
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