17年ぶりに起こった一部米政府機関の閉鎖。この事態に米国各地にある国立公園は閉鎖を余儀なくされ、通常だと多くの人で賑わう観光名所は大打撃を受けた。
自由の女神像を見るためにニューヨークを訪れていたという日本人観光客は閉鎖当日、突然の自体に「ここまで来たのに目の前で断念せざるを得ないなんて」と落胆の色を隠せない様子。旅のキャンセルも相次ぎ旅行会社は対応に追われたという。
一方、起こってしまったことは仕方がないと、代替案を立てせっかくの旅を楽しもうとする人たちの姿もあった。キャンセルができる人ならともかく、ホテルや航空券の予約など、もはやキャンセルができない人たちはこうしてプランBを考えなくてはならない。
かく言う自分もそのひとり。友人とアーチーズ国立公園やメサベルデ遺跡などを訪れる旅行計画を立てていたが、この不測の事態の当事者になってしまった。宿泊先や航空券はキャンセル料が発生してしまうので「中止」という文字は頭にはなく、早速プランBの考察に着手することに。
しかしここからが米国のいいところ。国立公園には入れなくても、広大な景色を楽しめる州立公園など、名所は探せばいくらでもでてくるのだ。西部開拓時代の面影を今に残す町など、写真でしか見たことがないような美しい景色が随所で見られる。
実際に国立公園がある町を訪れてみると、ヨーロッパからの観光客が多く、われわれと同じように代替案をたてて旅を満喫している人たちの姿があった。
メサベルデ遺跡から東におよそ60マイルの所にあるユート族の町イグナシオに足を運んだ。そこの住民が自宅に招いてくれ、古くから部族に伝わる祈りの儀式を披露してくれた。もし国立公園が閉鎖されてなかったらきっとこうした体験もできなかったであろう。
何事も心持ち次第。一生のうちで再び訪れることがないかもしれない場所に行けた観光客にとっては「今回の閉鎖も悪くない」、そう前向きに思えたのではないだろうか。【吉田純子】