演奏会の最後に豊年太鼓を演奏する出演者たち

演奏会の最後に豊年太鼓を演奏する出演者たち

「さくらイレブン」を演奏する粟屋陽子
「さくらイレブン」を演奏する粟屋陽子
  箏曲生田流宮城社の粟屋陽子が主宰する「粟屋会」は創立38周年を迎え、トーレンス市のアームストロング劇場で3日、祝賀演奏会を開催した。日本から尺八奏者を迎え和洋そして沖縄音楽の数々を披露し、美しい音色で観客を魅了した。
 同会は1976年春に第1回箏リサイタルを開催し、以降、南カリフォルニアを中心に2、3年毎にコンサートを行い、今回で18回目を迎えた。
 世界各地での演奏活動のほか、NHK交響楽団と武満徹の曲などを演奏してきた尺八奏者の柿堺香もこの日のために日本から参加。また沖縄からの特別ゲストで三線奏者の比嘉光龍が当地の沖縄舞踊家ジョーンズ・ジョセフとともに司会を務め、沖縄民謡と舞踊を披露した。
 演奏会は祝典協奏曲で幕を開け、柿堺と当地で活躍する尺八奏者ビル・シュルツによる「鹿の遠音」、粟屋と柿堺が共演した「さくらイレブン」、沖縄県出身の歌手、夏川りみが歌った「涙そうそう」、ビバルディのバイオリン協奏曲、「夕焼け小やけ」などを箏の音色とともに披露。そのほか琉球国祭り太鼓ロサンゼルス支部、協同システム少女合唱団らが出演した。
日本から参加した尺八奏者の柿堺香
日本から参加した尺八奏者の柿堺香
 粟屋は13歳から箏をはじめ65年に渡米。寂しい時に奏でようと大好きだった箏を持参し海を渡った。渡米後は宮城社大師範の工藤かずえに師事し、芸を磨いた。
 「箏の一番の魅力は心に染みる美しい音色。心を打つ音はジャズやクラシックなどジャンルにとらわれずどんな音楽とも組み合わせることができる」と語る粟屋は、今回のコンサートで沖縄音楽やクラシックを演目に取り入れた。これまでにも演奏会では当地で活躍するアーティストを招いてきたという。
 満員御礼の会場には日本人だけでなく米国人の観客の姿も多く見られた。
 同会はガーデナに教室を持ち、現在およそ30人の生徒がいるという。半分以上の生徒がヨーロッパやアジア系で、箏の音色はルーツにこだわらず人の心を打つことを日々実感しているという。
 粟屋は「自身だけでなく生徒たちとの共演の場をさらに設けていきたい」と話すとともに「今後も日本の伝統芸能の普及に貢献していきたい」と力を込めた。【吉田純子、写真も】

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