美声を響かせる北野寛子さん。約150人の聴衆が聴き入った
美声を響かせる北野寛子さん。約150人の聴衆が聴き入った
 大卒女性の会「AAJUW(American Association of Japanese University Women)」(吉成ジューン会長)は、ランチョ・パロス・バーデス在住で、かつてソプラノ歌手として活動した北野寛子さんを招いたリサイタルを16日、トーレンスのファースト・ルーテル教会で催した。北野さんは約150人の聴衆を前に美声を響かせ、歌曲とオペラ、日本の曲を熱唱した。
アンコールに応えて歌う北野さん
アンコールに応えて歌う北野さん
 一線から退いた後、孫に歌声を遺したいと思い立ち2010年に、お気に入りの約100曲を選び、CD4枚に収録した。それを聴いた会員が惚れ込み、リサイタルの出演を依頼。北野さんは、AAJUWの活動の趣旨に賛同し快諾したという。
 北野さんは、二期会オペラやUCLAオペラで主役を演じた実力者だった。ここ十数年は本格的な活動から遠ざかっているものの、この日のためにきっちりと調整し臨んだ。
 本番では、独、伊、仏、日の4カ国語でシューベルトやチャイコフスキー 、プッチーニ 、山田耕筰、中田喜直などが作った有名な約20曲を披露。透明感のあるきれいな歌声で観衆を酔わせ、スタンディングオベーションの中、リクエストにも応えた。歌唱に加え、楽曲が作られた当時の欧州各国の歴史やその背景を分かりやすく解説し聴衆からは「興味深く、勉強になった」などの声が多く聞かれた。
 リサイタルの発起人の1人の豊田房子さんは「北野さんは、とても表現力が豊か。恋の歌などは、暗さと明るさを表情を変えて歌い、すばらしかった」と評した。吉成会長はリサイタルについて「多くの人が聴きに集まってくれた。反響がよく『きれいな声が聴けた』と、喜んでもらいうれしい」と述べた。
 ジーン・マクナイトさんは、日本人の奥さんに連れられて来た。シカゴ在住時にオペラをよく鑑賞したといい、当時を懐かしんだ。日本の古い歌を好み、この日は
歌い終え、参加者から花束を贈られる北野さん(左)
歌い終え、参加者から花束を贈られる北野さん(左)
「『カラス』を聴くことができてよかった。キタノさんは声量が豊かで、とてもいい歌を聴かせてもらった」と喜んだ。聴衆の中には70歳を超える人も多く、同年代の北野さんのパフォーマンスに「元気をもらった」と、刺激を受けた様子だった。
 歌い終え、抱えきれないほどの花束を贈られた北野さん。今回の選曲について「みんなが聴きやすい曲を選んだ。(会場の)教会にふさわしいシリアスなオペラ(ジャンヌ・ダルク)も入れたけど、分かってもらえてよかった」と満足した表情で答えた。「人前で歌うのは久しぶりだったので、緊張したけど、音楽はみんなで楽しむのが大事なので、みなさんに喜んでもらってうれしかった」と述べた。
 今回のリサイタルは、女子教育に力を注ぐ同協会の活動の一環として行われ、イベントの純益は地元女子大生に贈る奨学金に充てられる。来年度の奨学金受賞者は3人を予定しており、1月末に小東京で開かれる総会で授与される。
 AAJUWについては、ウエブサイト―
 president@aajuw.org
【永田潤、写真も】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *