同事業は昨年始まり、日本経済の再生に向け、日本に対する潜在的な関心を高め、訪日外国人の増加を図るとともに、クールジャパンを含めた日本の魅力、日本ブランドや日本的な「価値」への国際的理解を増進させることを目指す。中学、高校、大学生を対象とし、数年かけて約3万5000人をアジア太平洋と北米地域に派遣しまた、米国からも生徒を日本に迎え入れる。それらの費用は150億円の予算の中から政府が負担する。
参加したのは、秋田県立大館鳳鳴高、千葉市立稲毛高、神戸市立工専、京都府立東舞鶴高、京都府立西乙訓高、大阪府立和泉高の6校。参加者は、人種の多さや道路の広さ、食べ物の多さなどにカルチャーショックを受けたというが、慣れない生活環境の中でも、地元の中学、高校生と交流に努め精力的に活動をこなした。ホームステイでは、生きた英語を学び異なる生活様式を味わうなど、貴重な体験を積んだ。また、日本の強みや魅力を紹介するプレゼンテーションを各所で行うなど、早くも親善大使として活躍し、行く先々で歓迎を受けた。
16日夜には、全米日系人博物館で開かれた歓迎レセプションに参加し、日米関係増進のために活動する地元団体の代表ら参加者から喝采を受けた。在ロサンゼルス日本総領事館の須賀正広首席領事があいさつに立ち、参加者にエールを送った。首席領事は、外交官となった自身の体験を踏まえ「若い頃の経験は、その後の人生を決めることがあるので、アメリカで培った経験を持って将来を担ってほしい」と期待を寄せた。同事業の意義を強調し「日米の懸け橋として、若いアメリカ人に日本のすばらしさを知ってもらうのも皆さんの役目なので、滞在中にそのような活動をし日米の友好に役立ててもらいたい」と望んだ。
各校はチームを組んで、地元の中学や高校など訪問先で、日本や日本人の性格、日本文化をテーマしたプレゼンテーションを行った。博物館では、和泉高と大館鳳鳴高の2校が、スライド写真を使って生活習慣や歴史、観光を紹介したり、侍、忍者の寸劇では会場を大いに沸かせた。また、おもてなしの心を伝え、東日本大震災で強めた絆、そして米国からの復興支援(トモダチ作戦)に対する謝意も忘れることはなかった。
南加日米協会会長のダグ・アーバーさんは、3校の男女の生徒と会話した。日本語を流暢に話すが極力控えたといい「学生たちは、うまく英語を話し感心した。英語を話そうとする意欲が伝わってきて頼もしく思った」と述べた。アーバーさんは、学生時代に秋田にホームステイしたことを紹介したという。その貴重な経験が「日米の2国の役に立ちたい」という気持ちを抱くようになったといい「学生たちには、このプログラムで身に着けたことを人生の貴重な財産にしてもらいたい」と望んだ。【永田潤、写真も】