24日からオランダで開かれる核安全保障サミットに合わせて、日米韓首脳会談が実現する。歴史問題、慰安婦問題には触れない前提だ。冷え切った日韓関係改善に向けて一歩前進だ。続けて中国との関係改善も進められることを期待したい。
筆者は外交や政治の専門家ではないが、両国との関係改善を望む一方で、日本人として疑問に思うことがある。日本国民の感情はないがしろにされてはいないかと思うのだ。
中国、韓国での反日デモは国内の不満分子のガス抜きとして両政府が黙認し、時には政府があおっているふしがある。米国においても、中間選挙が近づき、民主党勝利に向けてオバマ政権の内部事情などが解説される。つまり、それぞれの国の内部事情は詳細に解説されるが、一方で日本政府ではなく国民が何を考えているか、といったことは各国にどれだけ伝わっているのだろうか?
中韓各地で反日デモがあると、日本には自制が求められ、何か発言すると「日本は右傾化」と警戒される。中韓ともに、国内情勢が悪化すると日本叩きを繰り返し、ほとぼりが冷めると関係改善に動く。中国は戦後、強制連行賠償を破棄したのに、今回始めて裁判所は訴状を受理した。韓国でも、アジア女性基金設立は無視し、慰安婦問題についてことある毎に謝罪要求を繰り返す。いくらバッシングしてもよい対象として日本は使われてきた。
これまでの日本政府も嵐が過ぎるまでじっと待つ、の姿勢で特に大きな反論は行ってこなかった。しかし、反日デモやネガティブキャンペーンが報道されるたび、日本国内では「またか」という思いと、「いつまで繰り返されるのか」といった不満と怒りが積もっていっている、という日本の変化を中韓はどこまで把握しているのだろうか。だから外交的に大きな批判にさらされても、靖国参拝をした安倍首相の支持率は高いままなのではないだろうか。日本国民が何を考え、どう願っているのか。諸外国に理解してもらえるよう積極的に英語でアピールしていく必要があるのではないだろうか。
【下井庸子】