4月終わりの週末、友人たちと日の出桟橋に集合して吾妻橋までの船旅、所要時間40分の水上バスの初体験だ。
週末とあって混雑を予想したが意外と乗客は少ない。外国人客も10数名混じりお天気に恵まれて大半の乗客は上甲板へ上がる。船はレインボーブリッジを後に隅田川に向い、浜離宮恩賜公園を左に勝ちどき橋を通過する。ここからは、佃大橋、中央大橋、永代橋…厩橋、駒形橋と目指す浅草の吾妻橋まで12の橋をくぐる。右手には新しい高層ビルが立ち並び、両岸は意外とよく整備され水とビルのコントラストが美しい。
遊覧船が行き交い川に沿って進むにつれ次々と開ける展望に歓声が上がる。川の行く手にスカイツリーが姿を現し、右に左にまたは橋の真ん中にとさまざまに背景を変えながら楽しませてくれる。と、前方から10数隻の水上スキーの一団が一列縦隊で派手に水しぶきを上げながらやってきた。岸近くには幾艘もの屋形船が係留され、なるほど昔の江戸はまさに水の都だったのだと納得する。
やがて右手ビルの屋上に金色のビールの泡のモニュメント。船は速度をゆるめ向きを変えてゆっくりと吾妻橋の船着き場に横付けされた。赤い手すりの階段を上ればもうそこは地下鉄・浅草駅の入口だ。振り返ればメインのスカイツリーを真ん中に、欄干の朱や金色のモニュメント、さまざまなビル群が絵になる景色である。観光客で賑わう雷門まで10分足らず。
時計はすでに11時過ぎでお参り前にまずは腹ごしらえ、お目当ては大黒屋の天丼と決めていた。参道の雑踏をかき分け大黒屋に着くと長蛇の列、気を利かせた一人が支店の順番札をとってきたが「やはり食べるなら本店だよねえ」と待つこと30分、店内は混み合って外人客も多い。靴を脱ぎ時代劇に出てきそうな急階段を上がり2階へ。ぶち抜きの大広間に長テーブルが並べられ、人がぎっしりだ。生ビールで喉をうるおし待望の天丼をかき込む。店を出て浅草寺にお参りし仲見世を冷やかし、場所を変えて甘味どころでお茶を飲む。
水上バスから浅草にお参りし、美味しいものを食べ歩く散策には手頃な船旅だった。【若尾龍彦】