特撮を披露するミニチュアセット制作者の岩崎憲彦さん(左)と特撮監督の川北紘一さん
特撮を披露するミニチュアセット制作者の岩崎憲彦さん(左)と特撮監督の川北紘一さん
 日米文化会館は、春恒例の日本の「子どもの日」を祝うイベント「フィエスタ・祭」を3日、同館のノグチプラザで開催し、子どもたちが体験学習するクラフトフェアや日本文化のワークショップが開かれた。子どもに人気のゴジラの映画上映とともに、特殊撮影が披露されて熱狂的なゴジラファンを喜ばせた。

 文化ワークショップは、主役の子どもたちが餅や饅頭などの和菓子や、茶道などを体験。各ブースでは、折り紙や塗り絵、版画などのクラフトの作品作りに取り組んだ。ステージでは、和太鼓やウクレレを披露し、大いに盛りあがった。
 アラタニ劇場では、25年前に公開された「ゴジラvsビオランテ」が昼夜2度にわたり公開され、合わせて約430人が鑑賞した。上映前には、同作品の特殊撮影を手掛けた特撮監督の川北紘一さんと、撮影用のミニチュアセットを制作した岩崎憲彦さんが、特撮の基礎技術を紹介するレクチャーを行った。

ステージ上に並べた150分の1サイズのミニチュア模型の町並み
ステージ上に並べた150分の1サイズのミニチュア模型の町並み
 ステージ上には、ビルや道路、車などの150分の1サイズのミニチュア模型が並べられた。その町並みを撮影し、スクリーンに投影する。岩崎さんは「ただ高さの違うビル(の模型)をランダムに並べても本物には見えない」と説き、遠近法を用い、カメラに近い側に高いビルの模型を置き、遠ざかるほど低い模型に並び替えると、見違えるように道路は奥行きが出て、本物そっくりの立体的な町に生まれ変わった。そこに、「待ってました」の主役を置くと、平和な町に突如、ゴジラが実際に現れているように見え、会場に拍手と歓声が沸き起こった。
 岩崎さんは、ビルを破壊する特撮について「10メートルの高さのビルから石を落とすと、10秒で落下する。1メートルの高さの模型からだと、1秒で落ちる。大きさを10分の1にするので、時間も10分の1に縮まる」と説明した。その実演をし、片手で持てる石を隕石にみなし、ミニチュア模型に落とし、それを1秒間に240フレーム撮影できるハイスピードカメラで撮影した。その映像をスロー再生すると、あたかも空から重量感のある巨大な隕石が落下するかのように見え、会場は再び歓声に包まれた。
 質疑応答が持たれ、岩崎さんは「セット模型を作るのと、壊すのはどちらがおもしろいのか」と問われ、「作る方がおもしろい。でも、最後は壊す目的で作っているので、壊れる瞬間を見るのもいい」と答え、制作者冥利に尽きる考えを示した。川北さんは、上映した同作品がデジタル技術やCGを使わずに、すべて手作りのアナログを駆使したことを強調し「特撮の基本は、アナログだ」と述べた。
 ゴジラの同イベントは、小東京で営業し映画やアニメのキャラクターグッズなどを販売する「アニメジャングル」が、同館と共催し実現した。イベント終了後は、同店で2人を招いたトークショーを行い、撮影時の逸話などが披露される度にどっと沸き、ゴジラマニアは、たまらない一夜を過ごした。【永田潤、写真も】
隕石が落下し、ビルを破壊する特撮
隕石が落下し、ビルを破壊する特撮

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