先日、日本からの顧客を含め仕事関係者5人での夕食中、「…ところで日本は4月1日に消費税が5%から8%に上がったけど、アメリカはどうでしたっけ?」で議論は始まった。
アメリカは、いわゆる連邦政府でなく、州、郡、市が課税し、率も異なる。現在、ロサンゼルス市のセールス・タックス(sales tax)は9%。サンタモニカ市は、9.5%。
つまりカリフォルニア州(州税)が7.5%、ロサンゼルス郡(郡税)が1.5%、そしてロサンゼルス市(市税)が0%という内訳になる。サンタモニカ市(市税)の場合は0.5%が加えられ、総計9.5%となる計算だ。
日本でも国税(6.3%)と地方税(1.7%)を合わせたものだが、世界と比べまだ率が低く、来年10月には10%に引き上げる予定らしい。
いわゆるこの会話での「消費税」にあたるものが、アメリカでは「セールスタックス」なのだろうが、和訳すると「売上税」になり厳密に言うと微妙に違うのだ。
双方とも最終消費者に課税分が転嫁されることにはなるが、消費税は、物品やサービスの「消費」行為に対して多段階的に課税する仕組みのもの。例えば、原材料製造者→卸売業者→小売業者→消費者に物が流れると、各取引に消費税が生じ、各事業者が納税者となる。
アメリカの売上税の場合は、小売業者のみが納税者になる。つまり最終消費者に対する売上げのみが課税対象で、預かった税金を納税する。製造者や卸売業者が再販目的で仕入れる原材料や商品の場合は、売上税を支払う必要はない。お分かりだろうか?
カリフォルニアでは、医者、弁護士、理髪師、整備士など労働力に対しては通常は課税対象にならない。最終消費者への『tangible personal property』、つまり有形の、目に見える、触れる商品が課税対象になる。
ところが、スーパーで買う多くの食材、例えば野菜や果物、肉、魚、卵、砂糖、塩、牛乳、ボトル入り飲料水などは控除されている。処方箋の薬や車椅子、松葉杖などの医療関連器具も無課税。郵便切手も売上税はかからない。
日本とアメリカの、発想と解釈の違いで微妙な仕組みの差が起きているのだろう。【長土居政史】