日本よりもひとまわり広く、経済力は国連加盟国の193カ国対比で第8位というカリフォルニア州。広大な面積に人口は約3800万人。
 同州は現在、地域ごとにさまざまな社会問題をかかえていて、サクラメント(州政府)が正確に問題を把握し、解決策を見出していくのは極めて困難。加えて、連邦上議が2人だけというのは、人口約56万4500人のワイオミング州と同一なのは、1票当たりの公平さに著しく欠けている—などの理由をかかげてカリフォルニア州を6分割して5つの新州をつくろうとする運動が注目されている。
 ツイッター、ホットメール、スカイプやテスラなどに出資しているシリコンバレーのベンチャー企業投資家で億万長者のティム・ドレイパー氏が15日、カリフォルニア州6分割案を州民投票にかけるために必要な署名80万7615人をはるかに超える130万人の署名を集めて、請願書を提出した。これにより、2016年11月の大統領選挙時に、6分割案は州民による判定を受ける展開に。
 ドレイパー案によると、カリフォルニア州を北から順にジェファーソン州、北カリフォルニア州、シリコンバレー州、中央カリフォルニア州、西カリフォルニア州、南カリフォルニア州と、あたかも宅配ピザを切り分けるかのように分割。州都はそれぞれユカイア、サクラメント、サンフランシスコ、フレズノ、ロサンゼルス、サンディエゴとしている。
 「政治を身近なものにし、いろいろな問題により早く対応できる革新的な自治体を作ることが必要だ」と記者会見で語ったドレイパー氏は、やる気満々。しかしながら、かりに州民投票で過半数を取っても、民主、共和党ともドレイパー提案に否定的だし、議会を通る見通しはない。最新の世論調査でも59%が反対を表明している。
 それというのも、「富が集まるシリコンバレーの1%の富裕層の利益を守るための発想」との見方が強いドレイパー提案。いくらアメリカ人はピザ好きだからといって、身勝手な分け方をすれば、広い層から支持を得るには説得力に欠ける。
 これまで、カリフォルニア州分割案は何度か出されている。広範な地域を一律に規制することには摩擦や軋轢(あつれき)が生じていることだけは明らかなのだが…ピザのように簡単にはいかない。【石原 嵩】

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