プログラムは、JETプログラムで訪日し、震災で犠牲となった米国人英語教師テイラー・アンダーソンさんとモンティ・ディクソンさんを顕彰する目的で2011年から国際交流基金が毎年催し、今年で4回目。参加資格は、日本語を2年以上学習する高校生で、規定の語学力が求められる。全米から応募があった。
2人の英語教師は、教え子や同僚教師、地元の人々から愛された。一行は、2人が暮らした宮城・石巻と岩手・陸前高田を訪れ、足跡をたどる。親善大使としての重要な役目をこなし、学校訪問で生徒と交流し、陸前高田市役所で行なわれる高校生のサミットでは、東北の復興と発展をテーマに話し合う。また、書道や茶道、いけばな、太鼓など日本の伝統文化・芸術を学ぶ。
参加者のクレア・ノードさん(16)は日本語を2年間、トム・オードネルさん(17)は3年間学んでおり、ともに初の訪日に興奮した様子で「勉強した日本語を日本で試したい」と口を揃える。ノードさんは2教師に感銘を受けたといい「とてもすばらしい業績を残したと思う。今の私には、まねできないことで見習いたい」とたたえ、プログラムでは「小中学生との文化交流が楽しみ。そして震災から3年経っても困難な生活を送っている人々と話して元気にしたい」と述べた。オードネルさんもまた震災に心を痛め「災害は誰にでも降り掛かる。アメリカ(地元のニュージャージー州)から7000マイルの遠く離れた東北の被災者を励ましたい」と思いやった。「日本では友達を作って、日本とアメリカの社会や文化、習慣の違いと共通点を見つけ、互いの夢や価値観を分かち合いたい」と意欲を示した。2人はともに進学を志望し、卒業後は日本での留学や就職を希望する。さらに、親日の先輩である2教師のようにJETプログラムを通した訪日も考えているという。
アンダーソンさんの父アランさんは、被災地の復興を願い、テイラーさんの記念基金を設立した。愛娘が愛した石巻を6度訪れ、テイラーさんの教え子の成長を楽しみにしている。今回のプログラム参加者への期待は大きく「日本が大好きだったテイラーが経験した言語交換や文化交流など同じことを経験して、娘の遺志を受け継いでもらいたい」と語った。【永田潤、写真も】