年をとるにつれ歴史に興味を持つようになった。
 ネットでのリサーチ中、「15世紀のヨーロッパで最強国は?」という質問に出くわした。
 正解はリトアニア大公国。ヨーロッパ北東部のバルト三国のひとつである。
 数年前に首都のヴュリニュスを訪問したことがある。世界遺産にも登録された気品ある洒落た街だ。琥珀の産地でもある。伝統を重んじる人々は礼儀正しく奥ゆかしい。不思議な平和を感じた。
 1990年ソ連から独立宣言し、1991年に独立達成。特に若者たちはロシアより西欧やアメリカのメディアに関心をよせ、普通に英語を話す。 バスケットボールが最も盛んなスポーツである。
 国土面積が北海道の約3分の2の大きさしかないリトアニア共和国だが、15世紀のリトアニア大公国は、現在のベラルーシ、ウクライナ、黒海まで拡大し、ロシアも脅かす最大の領土を保有する強大国であった。
 ドイツ騎士団の脅威に対抗するためポーランド王国と連合(その後合同し共和国へ)し、経済的、文化的にも急速に発展した。まさに絶頂期であった。
 しかし、平和を維持するのは難しい。16世紀半ば事実上ポーランドに吸収されたり、18世紀初めスウェーデンの支配下に置かれたり、18世紀後半にはプロイセン王国(ドイツ北部とポーランド西部)やロシア帝国に分割されたりして衰退していった。
 さらにはナポレオンのフランス帝国に占領されたり、再びロシア帝国に支配されたり、第二次世界大戦中にはドイツに侵攻されたり、その後ソ連に併合されたり…と過酷な経緯を強いられた。
 ヨーロッパに限らず世界の歴史を振り返ると、どこの国も領土の取り合いの連続だ。その都度国境線が変わる。
 マレーシア航空機がウクライナで撃墜された最近の悲惨な事件がどうしても無関係とは思えなくなる。中近東やアフリカでの抗争も含め、歴史から学ばなければ、また同じ戦争という過ちを犯し続ける。
 「歴史は繰り返す」は、平和の尊さを十分理解できているはずの人間だからこそ、平和づくりも可能だという意味であると願いたい。【長土居政史】

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