年を重ねるにしたがい、身体の各部位の機能が低下し、支障が出てくるが、私の場合、今度は『眼』に症状があらわれた。ここ1年ほどで左眼の視力が低下し、その上、視界が薄い膜で覆われたようにボンヤリしはじめたのだ。眼科ドクターに相談したところ、左眼球に「白内障」が進行中とのことで手術を受けることになった。私の身体にまたひとつ手術体験が加わることになったわけだ。
白内障とは、眼のレンズの役割をする水晶体が白く濁る症状をいうのだそうだ。個人差があるものの、60歳代で70%、80歳以上になるとほぼ100%近い人に症状がみられるという。老化が主な原因といわれるが、私の場合は老化プラス糖尿病が重なったのかもしれない。
事前点眼などの準備があり、6月中旬、手術日を迎えた。朝7時にLAのSurgery Center へ出向き、手術用衣類に着替え、ベッド上に横になった。これまで各種手術を体験した私だが、眼球にメスを入れられることへの不安は皆無といえば嘘になり、少々不安だった。でもそんな時、ドクターが事前に来てくれ、「これから始めますが、30分ほどで済みますから、気楽にしていてください」と日本語で話しかけてくれ、がぜん安心した気分になった。テープで頭部をしっかり固定されたところまでは覚えているが、それから先は意識がなく30分以上眠っていたようだ。
目が覚めたときはもうすべてが終わっており、私の左眼はカバーされた状態だった。手術後の痛みもなく、即、退院手続きが進み、待機していた妻の運転で昼前には無事帰宅できた。
翌日、フォローアップの通院でカバーがとれ、手術後の左眼で視界を確認できた。手術は一般的な単焦点眼内レンズによるものだったが、それでも手術前にくらべ、クリアーになり、覆われていた霧が晴れた感じだった。さらに翌週、ドクターによる検査があり、順調であることが確認された。運動もボクシング以外ならOKとのこと、日常生活に戻ってよいということだ。再び、新しい光を取り戻すことができ、近代医学の進歩とドクターほか関係者に感謝し、光の大切さを身に染みて感じている。【河合将介】