記念茶会は濃茶2席を設け、財界人や茶道、華道、書道など文化人らが見守った。金屏風に囲まれた床には紫野・喝堂老師筆「明歴々露堂々」が掛けられ、千利休居士教訓の「花は野にあるように」に従い、楚々とした風情の季節の花を上野焼の花入れに生けた。その横には、江戸後期の丸型金彩香合に沈香を入れて飾った。畳二畳半の点前座には、鵬雲斎箱書付の唐津、鏡山窯、先代井上東也作の水指と信楽、人間重要文化財・高橋楽斎作の茶入を配した。
亭主は、ともにこの夏に茶名を授与されたばかりで、これからの活躍に期待がかかる白山宗聖さん(小泉社中)と、金剛宗章さん(光林社中)が起用された。それぞれ、鵬雲斎箱書付九代、大樋長左衛門作の黒楽茶碗に家元好の濃茶「松花の昔」を練ってもてなした。主菓子はオレンジ郡にちなみ、柑橘の風味がほのかに漂うオレンジをかたどった練り切りを用意。銘を「実りの秋」とし、各席約50人に呈茶とともに振る舞った。
記念式典で、半田会長があいさつに立ち「小泉宗由先生の下、みんなで日本伝統の奥深い茶の道を一生懸命学び、それを楽しみ、研さんを重ねてきた」と紹介。「今後も一期一会の心を大切にお客さんをもてなし、茶の心を次の世代に伝えたい」と述べ、協力を求めた。
来賓が祝辞を贈り、同協会のますますの発展を祈念した。堀之内総領事は、25年継続することを高く評価し「たゆまぬ努力によるもので、深く敬意を表したい」と称賛。オレンジ郡日本文化協会会長の岡添恭幸氏は「茶道に対する精進と熱意は、並々ならぬものである。弟子を育成し、『おもてなしの心』を伝えてきた」とたたえた。
小泉幹事長は、25年の道のりを「あっという間だった。旗振りをしてきた」と振り返った。後継者育成に力を注ぎ「生徒が立派に育ってくれた」ことを一番の喜びとする。茶道の普及に使命を燃やし「広めるのは、生徒を育てる先生次第」と言い切り、「正しく理解しないと、正しく伝えられないので、できればバイリンガルの生徒を育てたい」と希望。自身の茶歴は50年を超すベテランだが「茶道は奥が深くて、難しい」と、しみじみと語り「真髄である『和敬清寂』の心得を大切に稽古を重ね、地域社会に貢献したい」と抱負を述べた。【永田潤、写真も】