創立110周年を迎えた南加日系婦人会の会員と在ロサンゼルス総領事館の堀之内総領事(前列左から7人目)とサビーン夫人(右隣)
創立110周年を迎えた南加日系婦人会の会員と在ロサンゼルス総領事館の堀之内総領事(前列左から7人目)とサビーン夫人(右隣)

関係者に囲まれ乾杯する猪瀬会長
関係者に囲まれ乾杯する猪瀬会長

 1904年に「羅府婦人会」として発足した「南加日系婦人会」(猪瀬加代子会長、会員85人)は5日、創立110周年を記念した祝賀昼餐会を小東京で催した。会場には、日系社会をはじめ各界の代表者ら約190人が集まり、社会福祉、日米友好親善、日本文化の普及など、同会の長年にわたる意義ある奉仕活動に敬意を示した。
 あいさつに立った猪瀬会長と生田博子顧問は、「記念誌の作成にあたり、発会当時の往時を偲びますと、一世の方々の開拓者としての厳しく険しい時代を大和撫子という心意気で乗り越えた姿が見えてくる」と述べ、「尊く力強い歴史が今日も語り継がれている」と、長き歴史を振り返った。また、会員の世代交代の時期にきていることに触れ、「婦人会の創立の精神は変わることなく、永遠でなくてはならない。本日の式典は、将来を担う次世代の大きな力となることを願って止まない」と強調し、日系諸団体の代表者らに対し、あらためて指導と支援を呼びかけた。
 続いて名誉会長の堀之内サビーン総領事夫人が「南加日系婦人会の力強さと情熱のおかげで、110周年を迎えられた」と日本語であいさつ。「日本文化を次の世代に伝え、お茶やいけ花、書道や音楽などをアメリカに広めることで、日米関係も強くなりました。皆さまの休むことないご尽力に、心から御礼申し上げたい」と、同会の活動に敬意を表した。
特別功労賞を授与された(左から)土斐崎さん、正原さん、坪井さん、山口さん、吉山さん。右端は猪瀬会長
特別功労賞を授与された(左から)土斐崎さん、正原さん、坪井さん、山口さん、吉山さん。右端は猪瀬会長

 席上、さまざまな分野で同会および南加コミュニティーに深く貢献してきた会員の土斐崎和子さん、正原久子さん、坪井和恵さん、山口淑子さん、吉山清子さんの5人に、堀之内・名誉会長から特別功労賞が贈呈された。また、障害を持つ子供たちを育てる日本語を話す親の会(JSPACC)と、日本と日系の文化芸術を米国で促進する日米文化会館の2団体に、猪瀬会長からそれぞれ110周年を記念した助成金として3千ドルが授与された。
 式典には、昨年まで小東京を管轄区に含む第9区を代表したジャン・ペリー前市議も駆けつけ、市を代表して婦人会に感謝状を授与。南加日系商工会議所の青木義男会頭、日米協会のダグラス・アーバー会長、在ロサンゼルス日本総領事館の堀之内秀久・総領事が、110年間におよぶ同婦人会のきめ細やかなおもてなし、優しさ溢れる慈善活動に敬意を示すとともに、次の100年に向けさらなる飛躍を祈願した。
 会場では、会員による茶道でのおもてなしや、華道、書道の作品展示、また琴演奏など、優れた才能を持つ会員らが婦人会らしい形で来賓客を迎えた。
 式典を終え猪瀬会長は、「(110年にわたり)日本文化や慈善の心が今まで継承されてきたことはとても誇り高く、今後も継続していかなければならない」と述べ、「女性ならではの仲間意識や思いやりが、110年という長い歴史を刻んできたのではないか」と振り返った。また、南加日系社会の他団体同様、婦人会も世代交代の時期にあることに触れ、「新世代は発言欲や行動欲が旺盛で、ビジネス感覚に長けている会員が多い」とし、「互いに学びあい、前進していきたい」と今後の抱負を語った。【中村良子、写真も】

 南加日系婦人会沿革

 1904年「羅府婦人会」として創立。20年後半から30年にかけて日系社会が発展。それに伴い誕生した仏教会やキリスト教会の各婦人会を総括した。
 第二次大戦勃発で解散を余儀なくされるまで、ボランティア活動を活発に行う。中でも、37年に除幕式が行われたエバグリーン墓地の「先亡者慰霊塔」建設は、婦人会の団結と熱意を物語るもので、のち53年の天皇陛下(当時皇太子殿下)ご訪米の折には、慰霊塔両側に月桂樹の植樹を賜った。
 49年、永田なみこ氏を会長に迎え、羅府婦人会として再発足。56年に現在の「南加日系婦人会」と改称。64年から始まった女性顕彰、95年から参加している歳末助け合い運動などは現在まで続いている。
 2001年9月11日に発生した同時多発テロでは、千羽鶴1万3千羽を作成し、義援金とともに赤十字社に寄付。08年には連邦局から正式に非営利団体として許可された。11年3月の東日本大震災では、会員から寄付を募り、義援金を寄付した。
 現在までに、日本政府、加州知事、二世週祭実行委員、南加日系商工会議所などさまざまな団体から長年にわたる社会貢献に対し表彰を受け、現在は会員相互の親睦、社会福祉、日米友好親善、日本文化の高揚と普及、国際交流と発展を主な目的とし、活発に活動している。

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