会場では、料理と清酒・ビール、お茶などの紹介に加えて、高知、福島、茨城の各県の名産を紹介するコーナーが設けられた。参加したのは、日本食人気の波に乗り、米国市場への参入を目指す食品メーカーや蔵元ばかりで、説明に努め試食を薦めた。土佐れいほく農協の加工販売部主任の川田武彦さんは、生産
試飲と試食と並行し、ステージでは日本文化の紹介が繰り広げられた。320ポンドのマグロの解体ショーは、熟練の職人がプロの妙技を披露し、各部位がすしや刺身に調理され振る舞われた。高知のよさこい踊りと、沖縄の琉球祭り太鼓は、ともに熱のこもったパフォーマンスで魅了。一般参加者によるすしの早食い競争は白熱するなど、エンターテインメント性に富んだ企画で、会場は大いに沸いた。
JRAによると、イベント告知は経費節減を図り、フルに活用したフェイスブックなどのソーシャルメディア他は、Eメールのみだったというが、来場者数は昨年比で約200人増。日本食人気を支えるアジア系の参加が目立ち、和食を紹介する重要な人気行事としてすっかり定着している。
波多野会長は、過去最高の来場者数に満足し、和食人気の永続を切に願った。その一方で、日本食を提供する側として、料理人の心構えと、料理の質の低下を指摘する。日本で厳しい修業を積んだ職人気質の会長は、基礎を重んじる。他国出身のすし職人が、考案するフュージョンを認めるが、酢を使わずに握るのは「すしでない」と嘆き、また「いたずらに唐辛子を使い過ぎると、すしではなくなってしまう」と警鐘を鳴らす。和食の世界文化遺産入りについては「アメリカは日本と違うので、基礎がないと何料理か分からなくなる」と述べ、今後も和食の啓蒙に努める協会の方針に変わりがない考えを示した。【永田潤】