小林会長(左から7人目)とともに宣誓し、就任する2015年度の新役員
小林会長(左から7人目)とともに宣誓し、就任する2015年度の新役員
 38県人会が加盟する「南加県人会協議会」は、2015年度役員就任式と親睦会を8日、モンテベロのクワイエットキャノンで開催し、小林正三会長(山形県出身)以下、新役員20人が誕生した。小林新会長は「地方文化の継承に力を注ぎたい」と述べるとともに、協議会の発展のための組織改革に取り組む意志を示した。

 小林会長と役員がステージに上がり、前加州議会下院議員のアル・ムラツチさんの立ち合いの下、任務を全うすることを誓い正式に就任した。188人の参加者が日系社会の期待を込めた大きな拍手を送り、新役員の船出を盛大に祝った。

就任演説を行う小林新会長
就任演説を行う小林新会長
 あいさつに立った小林会長は、はじめに昨年の県人会協議会の創立50周年を振り返り「盛大な記念式典を成功裏に終えることができた」と、多大な協力に謝意を表した。協議会のミッションである「南カリフォルニアにおける日本文化の継承と、その人材の育成である」と、あらためて確認した。その継承事業の好例を挙げ「宮城県の七夕まつりを6年前から二世週祭の協力で、この地で紹介し、たいへんな好評を得ている。また、今年は青森県の地方文化のねぶた祭が、青森県人会が主体となり実施する」と、各県人会が重んじる故郷との絆を強調。「このような日本の地方文化を紹介し、世界各国から来た人々にもっと興味を持ってもらいたい」と願い、積極的なイベント参加と、さらなる支援を求めた。
 来賓を代表し、県人会協議会名誉会長の堀之内秀久・在ロサンゼルス日本総領事と、ディレック・フルカワ・南加庭園業連盟会長、青木義男・南加日系商工会議所会頭が、それぞれ祝辞を贈った。3氏はともに、当銘貞夫前協議会会長の労をねぎらい、新会長と協議会の前途を祝した。
 昨年度の役員に対する表彰を行った。当銘会長と、章子ケースビア書記、奨学資金部の野崎住吉部長と福岡健二会計、撫養真寿美・特別会計、西元和彦・ゴルフ大会委員長、平山安正・選管委員長、ジョージ・森・娯楽部長、芥川義則・広報部長にそれぞれ、感謝の盾と記念品が贈られた。
北海道・道産子会の千歳香奈子会長のスピーチ
北海道・道産子会の千歳香奈子会長のスピーチ
 県人会協議会は、日本各所で起こった自然災害に対し、義援金を送るなど救済活動を行っている。11年の東日本大震災に対しては、現在もサポートしており席上、宮城、福島、岩手の各県人会長が謝辞を述べた。各人は、被災地が依然として復興途上にあるとし、継続した支援を呼びかけた。比嘉朝儀顧問は、今後も被災地支援を継続する協議会の方針に変わりがないことを確約した。
 全県人会の会長と会長代理がステージに上がり、1人30秒の持ち時間で、郷土自慢やそれぞれの活動状況を紹介した。どの会も愛郷心に満ち溢れ、会員間で親睦を深めているという。アイデアを出し合って各種イベントを企画し、会員の増強に努めるなどの工夫が披露された。第2式の余興では、小林会長が掲げる地方文化を早速、披露。会長自らマイクを握る演出で、出身地山形の民謡「花笠音頭」を熱唱した。

小林新体制で始動
改革は「次世代のため」

 小林会長は、1974年に日本製カーステレオを販売する駐在員として初渡米した。4年間勤務し帰国して、東京の本社務めの後、退職した。80年に再渡米し起業、カーステレオの販売とサービス一筋に生き、2年前に引退した。テキサス州に支社を設け、全米を飛び回る忙しい業務のかたわら、38年前に入会した山形県人会では、2度にわたり通算9年間会長職を全うした。
 県人会協議会には12年間所属する。これまでに、副会長そして役員会の委員長を任され、4年前に非営利組織になった際には、会則の改正に尽力した。温厚篤実で誰からも好かれ、昨年11月に開かれた県人会協議会の理事会の会長選では、人望を慕う会員から票を集め勝利した。

愛媛県人会について紹介する日系3世の大谷喜平会長
愛媛県人会について紹介する日系3世の大谷喜平会長
 小林体制で、51年目を踏み出した協議会。組織の改革について会長は、新旧会員間にジェネレーションのギャップが存在するとし「正直言って簡単ではない」と、世代交代の過渡期の難しさを語る。だが、役員会には、女性や30代、40代の若い次の世代に加え、日系3世、4世が入り「みんなが、すばらしいアイデアを持っていて頼もしい。若い人を尊重し、意見を取入れられる組織にしたい。次世代のための道筋を作りたい」と意気込む。
 協議会の礎を築き、発展を支えた年長者に対しては「敬意を払いながら理解を求めたい。改革のための協力をお願いして、少しずつ変えていきたい。先輩たちから『後輩に任せてもいい』、という信頼を得たい」と抱負を述べた。
 加盟県人会については「県人会があるから、県人会協議会があることを忘れてはならない。各県人会と協議会が共同でイベントをするなど、県人会を巻き込みたい」。地方文化にこだわる理由は、武道や華道、茶道、書道など一般的な日本文化は他の多くの団体が普及に励んでいるとし「郷土の食や祭の紹介など、各県の特色を最大限に生かさなければ意味がない。県人会にはそれができる」と説明。「若い人に、ただ『入会して下さい』と言っても無理。何か地方文化に関するイベントで盛り上げて、興味を持ってもらえれば、会員数が増えると思う」と述べ、実現のための連携を呼び掛ける。【永田潤、写真も】
昨年度の役員に対する表彰式
昨年度の役員に対する表彰式

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