横断歩道に足を踏み出していいのは、白い歩いている人のマークが出ている間のみだが、多くの市民がこの法律を知らないのが現状(写真=マリオ・G・レイエス)
横断歩道に足を踏み出していいのは、白い歩いている人のマークが出ている間のみだが、多くの市民がこの法律を知らないのが現状(写真=マリオ・G・レイエス)

 ロサンゼルス・ダウンタウンを中心に2年ほど前から取り締まりが強化され、市民から法の必要性と約200ドルという高額な罰金に対し疑問の声が上がっている「横断歩道違反切符」に対し、このほど、2人のロサンゼルス市議がロサンゼルス市警察(LAPD)に同法の調査と再検討を要求した。

 問題となっているのは、歩行者信号に秒読み時計と赤い手の点滅信号が表示された後に横断歩道に足を踏み入れることで違反切符を切られる「横断歩道違反切符」で、多くの市民が同法を知らない、または誤解していることを知りながら取り締まりを続けているというもの。
 同法に異議を唱えたのは、ウエストロサンゼルスを管轄する第11区のマイク・ボニン市議。市議は、「交通を妨げず、安全に横断歩道を渡り終える時間が十分にある時に横断歩道を渡った歩行者に対しても違反切符を切るのは一般常識に反する」と述べ、「歩行者の安全は最優先。もし、『横断歩道でのおとり捜査』を行うのであれば、横断歩道に歩行者がいるにも関わらず、スピードを落さず通過する運転者を取り締まるべきではないか」と異議を唱えた。また、「度を超えた取り締まりと高額な違反切符のせいで、ロサンゼルスを歩く人がいなくなってしまう」と懸念を表明した。
 ボニン市議の申し立てを受け、小東京を含むダウンタウンを管轄するホゼ・ウィザー市議が支持を表明した。
 同申し立てにより、LAPDは今後、歩行者を標的にした取り締まりの明確な理由と、これら取り締まりが具体的にどのように歩行者、車や自転車の運転者の安全を高めているのかを調査し、市議会に報告する義務がある。さらに、ダウンタウンといった一部地域で過剰に取り締まられている一方で、他地域では野放し状態なところもあり、取り締まりにムラがある点も指摘、説明を求めている。ロサンゼルス・タイムズ紙では調査を行い、ダウンタウンで同様な違反切符を切られる数は、他地域の4倍にもなると発表している。
 ボニン市議はまた、「これら道路交通法は1982年に施行されたもので、現在の公道や歩道、またテクノロジーの発達に見合っていないのではないか」と疑問を投げ掛けている。
 一方ウィザー市議は、自身が計画しているダウンタウンの交通の流れを改善するための「DTLA Forward戦略」の一環として、歩行者信号のタイミングを少し早めることで、車より先に歩行者が横断歩道を渡り始められるシステムの拡大を求める申し立てを提出した。

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