懐かしのメロディーを演奏するピアニストの小川弘子さん
日本の夏の名曲を歌い上げるシャンソン歌手の今野広樹さん
第1部最初の曲目は「美しき天然」。男女4人のコーラスグループ「サーカス」がカバーしたほか、チンドン屋が演奏していたことでも知られる。誰もが1度は耳にしたことがある曲だと思い選曲したという。
「さくら貝の歌」に次いで「究極の9曲メドレー」では「うみ」「茶摘」「みかんの花咲く丘」「夏の思い出」「我は海の子」「海」「たなばたさま」「夏は来ぬ」「ほたるこい」の全9曲をメドレー形式にして歌い上げた。どれも夏に歌われる日本の名曲。メドレーは会場の観客と一緒に歌い、リズムに合わせて手拍子をする人の姿もあった。
「お六娘」「お菓子と娘」「銀座カンカン娘」の「娘3曲」を軽快なピアノ演奏と陽気な歌声で披露した「娘シリーズ」。「ちょっと粋でちょっとおかしな女の子の曲です」と紹介した「銀座カンカン娘」は1949年(昭和24年)に公開された同題の映画の主題歌だ。
第2部はイタリア映画を代表する女優ソフィア・ローレンと俳優マルチェロ・マストロヤンニの共演作「ひまわり」の主題曲「ひまわりのテーマ」を小川さんが演奏しスタート。日本だけでなく、欧米の名曲も披露し、イタリアからフランスのシャンソンの名曲「ラ・メール」へと続き、アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュイン作曲のオペラで後にビリー・ホリデイらがカバーした「サマータイム」へと続いた。
今野さんが「いつか歌いたいと思っていた」と語る「さとうきび畑」。沖縄戦が繰り広げられたサトウキビ畑の情景に、戦争で失った父親への思いを歌った曲に観客は静かに耳を傾け聞き入った。
「夏」を描いた歌とともに夕涼みをしてほしいと開催された今回のコンサート。「日本にはたくさんの素敵な歌があることを知ってもらえたらうれしい」と今野さんと小川さんは話す。【吉田純子、写真も】