昨年8月11日、サウスロサンゼルス地区で黒人青年イゼル・フォードさん(当時25歳)がLAPDの警官に銃で撃たれ死亡する事件が発生した。当局によるとフォードさんは警官の職務質問を無視した後、警官のひとりと取っ組み合いになり、その直後、警官から拳銃を奪おうとしたため、そばにいた別の警官が発砲。フォードさんは間もなく死亡した。遺族によるとフォードさんには精神障害があったという。
警官の手にはひっかかれた傷跡があり、DNA鑑定の結果、傷跡からフォードさんのDNAが検出された。
LAPD署長とアレックス・ブスタマンテ監査官が、フォードさんを撃った2人の警官の対応は正当だったとの認識を示していると5日のロサンゼルスタイムズ紙が報じたことを受け、抗議デモは行われた。
事故発生当時、フォードさんは銃などの武器を持っておらず、デモ参加者たちは警官による武力行使に行き過ぎがなかったか疑問視している。黒人への差別反対を訴える活動グループ「Black Lives Matter Los Angele」が主体となってデモは行われ、9日まで公邸前で抗議を続ける予定だという。その間、参加者たちは公邸前にテントを張り寝泊まりする。
8日早朝には公邸前で一夜を明かしたデモ参加者およそ15人の姿があった。デモ参加者たちはエリック・ガーセッティーLA市長にチャーリー・ベックLAPD署長の解任を要求。公邸の門には解任を求めるメッセージやフォードさんの写真、「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」と書かれたポスターなどが貼られていた。
7日にはフォードさんの母親が公邸前を訪れデモ参加者を労った。【吉田純子】