
「バックグラウンドを問わず、開かれた日系社会を目指したい」
第75回二世週祭のコロネーションボウルが15日夜、小東京のアラタニ劇場で盛大に開催され、オレンジ郡日系評議会推薦のサラ・クニコ・ハッターさん(22)が新女王に輝いた。75回という記念すべき節目のコロネーションボウルは日系人や二世週祭のこれまでの長い歴史を振り返り、広がりと連携を希求する次の世代へのメッセージにあふれるものとなった。【中西奈緒、写真も】
◎新女王誕生
ファースト・プリンセスには、パサデナ日本文化会館推薦のベロニカ・トヨミ・オオタさん(23)、ミス・トモダチには米国日系レストラン協会推薦のカレン・ナナ・ミゾグチさん(22)が選ばれた。7人の候補は日本語や生け花、茶道、日本舞踊、歩き方、スピーチなどを専門家から学びステージ上でその成果を発揮した。新女王とコートは日系社会を代表するため、今後1年にわたって、さまざまなイベントで活躍するほか、名古屋、ハワイ、サンフランシスコ、シアトルなどを訪問して文化交流の親善大使の役割を務める。
美しく輝くティアラと赤いガウンを身に着け、晴れて女王となったサラは「まったく予想していなかったから、とにかく圧倒されてしまい、興奮している。3か月におよぶトレーニングはとても大変だったけれど、とてもやりがいがあった。これから日系社会の代表としてコミュニティーを応援できるのがとても楽しみ。素晴らしい一年になると思う」と語った。
◎サラのスピーチー彼女が学んだこと、伝えたいこと
また、司会者からの公開質問コーナーでは「日系2世は一生懸命に働き、私たちの世代にさまざまなチャンスを与えてくれる存在でした。あなたたち若い世代は将来、どんな存在でありたいですか?」という問いに、「バックグラウンドを問わずに、すべてのコミュニティーに開かれている世代でありたい。特に私たち日系社会は文化的にも人種的にもより混ざり合ってきているので、もし私たちがあらゆる文化やその背景を理解して活気づけることができるなら、この社会全体が成長して良くなって、世の中全体に貢献できると思う」と述べ、多様な民族や文化が入り込んでいるアメリカで生まれ育った日系4世らしい将来のビジョンを力強く訴えた。
娘の名前が呼ばれた瞬間「OH MY GOSH!!」と叫び、とても驚いてしまったという母親のジョイさん。「この素晴らしい経験をいかして、さまざまなことを自ら積極的に学んでいき、日系コミュニティーのみならず、他のコミュニティーも元気づけるような人間になってもらいたい。彼女のスピーチでもあったように、さまざまなバックグラウンドを持った多様な人たちやグループと触れ合うことで成長していってもらいたい」とエールを送った。
◎審査員の声ーロイ・ヤマグチさん
今年のグランド・マーシャルに選ばれ、初めて審査員を務めたロイズ・レストランのシェフであり創始者であるのロイ・ヤマグチさんは、「素晴らしいイベントだった。将来のリーダーとなる賢く美しい女性たちとともに参加できることはとても光栄なこと」と語り、新女王に選ばれたサラについて「とても心をこめて自分の意見をしっかりと伝えていた。雄弁で美しく賢く、とても人間味がある人。直接会って話をした時は、将来の話や二世の退役軍人の話をした。とてもエネルギーがあって自信に満ち溢れていて印象的だった」と話した。
◎毎年司会を務めるデイビッド・オノさん
司会を務めるABC7のニュースアンカー、デイビッド・オノさん(左)と女優のタムリン・トミタさん(右)に質問を受けるサラ・クニコ・ハッターさん
「ちょうど今夜のニュース番組で二世週祭とはどんな祭りで、どんな歴史があって今に至るのか、たくさんの古い写真とともに紹介してきたところ。1930年にチャーリー・チャップリンが初めてのグランド・マーシャルに選ばれた時の写真や、初代二世クイーンとコート、当時のLA市長の写真なんかもね。日系社会には伝え続けていかなくてはならない、そして、こんにちにも深く関わっているとても大切なストーリーがある。いい時代も悪い時代も、とても困難でチャレンジングな時代も…、もちろん、いいストーリーもある。困難から立ち上がり成功していった輝かしい歴史のストーリー。一番大切なことは、そういった歴史を忘れることなく、そこから何を学び取っていくか。そういったストーリーを知ることはいつでもとても意味のあることだ」と、オノ氏は日系人の一人として、また、過去・現在・未来について伝えていく一人のジャーナリストとして、二世週祭のイベントの意義を話してくれた。
◎未来に向けて行動
新女王に輝いたサラ・クニコ・ハッターさんはインタビューの最後を、改めてこう締めくくった。
「今日はミス・チャイナタウンが参加してくれてとても嬉しかった。これからは私たちとバックグラウンドの違う他の民族や地域のコートたちも一緒に集まって協力して、お互い学びあい、教えあっていきたい。そして、これからは民族がより混ざり合ってゆく時代だと思うので、そんな次の世代をどんどん元気づけて、地域そして世界に貢献していける存在になっていきたい」
