気候が安定して過ごしやすい秋に訪日する人が多い。季節は正に実りの秋。食事は何を食べても、それこそ「ほっぺたが落ちる」ほど美味しい。
 中でも、初秋の味覚といえば、サンマ。それも冷凍ものではなく、水揚げされたばかりのフレッシュなサンマ。旬の味を楽しむ醍醐味は、ここアメリカではなかなか味わえないぜいたく。東京・目黒の「さんま祭り」でも、岩手県宮古市から直送されたサンマ約7千匹が今年も無料で振る舞われて、大いに賑わったとのニュースも届いた。
 ところが、長い間、庶民の味として親しまれてきたサンマに、今年は異変が起きている。水揚げ量が昨年と比較して半減しているというのだ。
 サンマは、北太平洋の公海に多く生息し、秋口になると日本沿岸に回遊してくる。日本の漁師たちは、鮮度を重んじるから沿岸近くに来るのを待って漁をするのだが、資源管理を考えない中国や台湾はサンマが回遊を始める前に大型船で大量に捕獲してしまうという。自分の儲けを最優先させ、自然の摂理など眼中にない。
 こうした資源保護や環境保全など「われ関せず、他人のことなど知ったこっちゃない」との姿勢は、排気ガス規制を逃れて利益追求のみを考えていたドイツの自動車メーカーVWも同類だろう。
 排ガス制御ソフトの自動操作によりテストをパスして、通常運転では許容値の10倍から40倍もの環境汚染物質を排出していたというのだから、開いた口がふさがらない。数年前から違法性を知っていたとされ、刑事訴追は免れないだろう。VW傘下の高級車アウディも同罪だ。
 地球環境を守るため、お金と時間をかけて2年ごとの厳しいスモッグテストを受けているカリフォルニアンの努力は、一体なんなのか?
 限られた資源、破壊されつつある自然環境を守るためには、世界共通の問題意識と協力が必要なのに、自分だけよければいい、自己中心的に行動する「ジコチュウ」の国や企業や人が、まだまだ多すぎる。【石原 嵩】

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