インタビューに応じる(右から)ショーン三宅、タイアン・クジュブ・ベリ、ゲリー川口、大石剛司の各氏 (写真、Mario G. Reyes/ Rafu Shimpo)
インタビューに応じる(右から)ショーン三宅、タイアン・クジュブ・ベリ、ゲリー川口、大石剛司の各氏 (写真、Mario G. Reyes/ Rafu Shimpo)

Click here for English coverage

23日、「敬老シニアヘルスケア」代表兼CEOのショーン三宅氏を含む5人と羅府新報社とのインタビューが行われた。敬老4施設のパシフィカ社への売却の正式合意、その経緯、4100万ドルの使い道などについて説明された。この売却のプロセスについて「今まで十分すぎるくらい日系社会に説明をしてきた」と語る三宅氏。しかし、日系社会はきちんと説明を受けていないとしており、双方の認識の差が浮彫りになっている。【中西奈緒、モニエ中地美亜】

インタビューには、「敬老シニアヘルスケア」側から代表兼CEOのショーン三宅氏、ボードディレクターの理事長を務めるゲリー川口氏、最高管理責任者のダイアン・クジュブ・ベリ氏、引退者ホーム施設長の大石剛司氏、広報担当のオードリー・リーサン氏の5人が出席した。

州司法当局から出された条件に対し、敬老、パシフィカ社(Pacifica Companies LLC)、パシフィカ社が引退者ホームの運営を委託するノース・スター社(Northstar Senior Living, Inc)、そして中間看護施設、看護ホームの運営を委託するアスペン社(Aspen Skilled Healthcare, Inc)の4社がそれぞれ最終的な合意をしたことが報告された。現在は経営や運営の移譲手続きが行われていて、来年早々にエスクローの手続きが終わるのを待って、敬老は4施設を正式に受け渡すという。

今回の売買の決断について三宅氏は、6年ほど前からUSCやUCLAと協力して調査を行い、今後の人口構造の変化、オバマケアによる収入減、3世・4世と世代が変わっていき人種もより混ざり合っていくという将来的な見通しに立ち、敬老の需要は減っていくと判断したという。現在は経済的に大丈夫だが、非営利団体として敬老が今後も20年、30年と続き、日系社会の高齢者のために活動を続けていくためには、施設の売却という苦しい判断をしなくてはならなかったと説明した。

売却後はダイアン氏が現在もリーダーとなって行っている「元気リビングプログラム」や、その他幅広く健康や医療に関わるプログラムを行い、日系人たちが少しでも長く元気に家庭で暮らし、早い時期から高齢者施設に頼らなくてもいいような教育プログラムを高齢者のみならず、若い世代にも提供していくという。収益の4100万ドルは投資をし、その利率でこれらのプログラムをおこなっていく。

今回の売却をめぐり三宅氏は、この3年間、十分すぎるくらい日系社会に説明をしてきたとの自信を持っていて、今後改めて説明していく予定はなく、詳しいことは敬老のホームページに掲載されてあるからそれを見ればいいと主張する。

しかし、日系社会は十分に説明を受けてきていないとして、敬老の売買に反対する人たちや、敬老サイドのコミュニケーションの仕方やその「透明性」などに疑問を抱いている人も多く、29日にはコミュニティー集会が開催される。

今までのコミュニティーへの説明、中心メンバーの今後の進退、彼らの給料、コミュニティーアドバイザリーボード(CAB)などついて三宅氏、川口氏との一問一答の一部は次の通り。

—売買のことを今まで支えてきた日系コミュニティーに十分な説明をしてきたか。これからリクエストがあったらどう対応するのか

三宅氏「もう説明しない、すべてやった。この3年間、小東京だけでなく南カリフォルニア中、何百という場所で会合を開いたり、敬老のホームページを通じて十分すぎるくらい情報をコミュニケーションしてきた。それに市民には2回も州司法当局に直接意見を出せる機会まであった。ここまで、このレベルで、コミュニケーションを取ろうと頑張っている組織はこの敬老以外、日系社会のどこにもない。情報はすべてホームページに出ている。ここには週7日24時間いつでもアクセスできる」

川口氏「意志があるところに道はある。彼らが本当に知りたければ、その知りたい情報にアクセスできる」

—その情報を探すこと、たくさんの資料を理解するのは大変だ
「それは分かる。でも多くの人は(知りたい情報を探したりそれを読む)努力をしない。引退者ホームの住民の中には全部読んだ人がいる」

—どんな説明会をしてきたのか

「例えば、4年前、医師に対して説明会を開いた。2人しかこなかった。そのあとサウスベイでも開いたけれど2人しか来なかった。それは僕の責任ではない」

—それは伝達の仕方に何か問題があったのではないか

「そんなことはない。Eメールもファーストクラスレターも送ったけど、人は現れなかった」

—新しい敬老になってメンバーはどうなるのか
CEOもボードもオフィサーもみなそのまま続投する。

—事業が変わるわけだがいままでと同じ額の給料をもらうのか
「われわれの給料はCalifornia Nonprofit Integrity Actという法律に基づいてボードが決めているから問題ない。これはボードの責任で、日系コミュニティーの責任ではない。ホームページに監査を受けたものがすべて載っている。うそをつくことはできない」

—どうやってコミュニティーアドバイザリーボード(CAB)を決めるのか。住民やコミュニティーの代表も入れるのか

「まだ何も決まっていないけれど、CABのメンバーには今まで一緒に働いてきた人や関わっていた人など、敬老についてよく知っている人である必要がある。そうでないと相手に助言はできない」(次回につづく)

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *