LA市の節水計画を発表してから1年が経過し、市庁舎で1年間の成果を発表するエリック・ガーセッティー市長
LA市の節水計画を発表してから1年が経過し、市庁舎で1年間の成果を発表するエリック・ガーセッティー市長

 カリフォルニア州を襲う干ばつによる水不足対策として、ロサンゼルス市のエリック・ガーセッティー市長が昨年、2017年までに20%(14年比)の水使用量の削減を呼び掛ける節水計画を発表してから1年が経過した。ガーセッティー市長は3日、LA市庁舎で同市の1年間の成果を発表し、市民に継続的な協力を呼び掛けた。【吉田純子、写真も】

 ガーセッティー市長は昨年10月、1人当たりの水使用量が130ガロンだった同年7月1日比で、同市の水使用量を15年7月1日までに10%、16年1月1日までに15%、17年1月1日までに20%減らす段階的な節水目標を設定した。
 今年9月の節水率は16%で、早くも短期目標を達成している。
 これまでの取り組みとして、庭の芝生の水まきに使用する水の量を減らすため、敷地面積にして2千万平方フィート以上の芝生を撤去し、干ばつにも強い植物への植え替えを実施。結果として、年間およそ8億ガロンの水使用量の削減に成功した。さらに雨水タンクやかんがい制御システムの導入により、年間30億ガロンの節水を実現している。
 さらに節水を促進するため、ロサンゼルス市水道電気局(LADWP)は顧客の水使用量をもとに4段階式の料金設定システムを提案。水使用量が多くなればなるほど、水道料金が高くなる料金システムを提案した。
 節水対策が進められる中、先月、ベルエアの1世帯が約100世帯の年間水使用量に相当する年間1180万ガロンの水を使用していることが発覚した。同エリアを管轄する第5区のポール・コレッツ市議は、大量の水を使用する市民に罰金を科す措置を提案。ガーセッティー市長は同市議の提案を支持しており、今月末にもLADWPが大量の水を使用した住民への罰則規定を盛り込んだ条例案を提出する予定だという。
 これまでの成果として同市が所有、運営する施設や公園などでは、22・4%の節水を達成。ロサンゼルス市消防局(LAFD)のラルフ・トラザス署長によると、消火活動にはリサイクル水を使用し、およそ950万ガロンの水使用量を削減したという。
 公園や博物館などの管理を行う同市の娯楽および公園部門でもリサイクル水を利用し、22%の節水に成功した。ロサンゼルス動物園ほか市内の公共施設では、洗面所に低水流量の洗面所備品を導入するなどして対策を講じてきた。
 ガーセッティー市長は会見で「LA市ではこの1年間でさまざまな対策が実施され、水使用量を大幅に削減することができた」と話した。一方で、多雨などの異常気象を引き起こすエルニーニョ現象の到来が予測され、降水量の増加も予想されるが、依然、加州の積雪量は減少し、干ばつの危機から抜け出せていない現状を危惧。「今後も継続的な節水への取り組みを行い、環境に優しい都市づくりを目指していかなければならない」と述べ、市民にさらなる協力を呼び掛けた。

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