吐く息が白くなったある朝、ファストフードのドライブスルーを抜けると、出口で軍服を着たホームレスを見かける。お釣りをそのまま渡す。温かいコーヒーでも…と心で伝えて…。
 ロサンゼルス郡で、通りやシェルターに住むホームレスの数は4万4千人あまり。2013年と比べ、14年は12%増加した統計が発表された。3分の1がメンタル・イルネスともいわれている。
 Los Angeles Homless Service Authorityの指揮で、アメリカ退役軍人省からの寄付もあり、今年は明確な人数や特徴をより深く把握しようと何千人ものボランティアと共に調査を始めた。深刻な課題に適正な救護方法を見い出そうとしている。
 ロサンゼルスでは退役軍人のホームレスが4千人程で、慢性の病気や障害を持つ率が高く、平均年齢が54歳。
 憧れのアメリカに初めて来た時、月までロケットを飛ばせる国に、どうしてこんなに多くのホームレスが存在するのか? と社会の矛盾に多大なるショックを受けた。政治家たちも結局関心がないのか…冷たい社会…冷たいアメリカ人…わびしい気持ちにもなった。
 裕福層が恩恵を受けた80年代の「小さな政府」レーガン政権期がそもそも発端だといわれる。国防のため軍事に予算を増加し、メディケイド、フードスタンプなどの社会福祉関連支出が削減された。確かに冷戦が終焉したが、病院にて保護を受けるべき人たちまでを追い出しホームレス社会状況を生んだ代償は大きい。
 では解決法は? あったら誰かがとっくにやっている、とは思うが、金銭的に余裕ある金持ちたちから少しずつ投資として資金を集め、ロサンゼルスのダウンタウンに医療、庭園、学校、住居、オフィス、レストランも含めた立派な巨大施設を建てる。教会が既に行っているような慈善事業とコミュニティーがコラボし、最低3年の保護を保証する。実践英会話のインストラクターにもなれるようにトレーニングして世界中から訪れる生徒たちに教える。トップの民間企業が運営して、社会復帰ができた結果などに応じて国からボーナスを受給できるインセンティブのシステムを作る、という案はどうだろう?
 皆が幸せに生きていける安全で平和な社会は誰でも願うのだが…。【長土居政史】

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