モンテベロ市クワイエットキャノンの広い会場には子供からシニアまで、およそ550人がぞくぞくと集まった。県人会グッズの販売、新年のあいさつをして回る人たちなどで開会前から会場は活気にあふれた。
北米沖縄県人会は1909年に設立されて今年で107年目を迎え、今はおよそ800家族がメンバーとして登録されている。「沖縄県人会」は他州やカリフォルニア州内でもサンフランシスコ、サクラメント、サンディエゴにもあるが、その中ではロサンゼルスの同会が一番大きな規模になる。芸能部、武道部、文化部、婦人部などおよそ20の部会活動も活発だ。
ウエストコビナ市長で沖縄生まれのジェームズ・トウマ氏の立ち会いのもと、理事、各部の部長らが職務を全うすることを宣誓。2015年の「マン・オブ・ザ・イヤー」には設備や道具の修理を担当してきたディビット冨里さんが、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」には理事や沖縄舞踊の教師として貢献してきた沼田美智子さんが選ばれ表彰された。
ステージでは沖縄民謡などが次から次へと披露された。婦人部と男性理事らが競い合う「タレント合戦」では、婦人部はトウマ市長を旦那と見たてて「だんな様」という歌を披露。一方、男性理事たちは「浜千鳥」という歌にあわせて女装して踊り、笑いを誘った男性理事たちが勝利を勝ち取った。また、昨年のピクニックに引き続き、沖縄北部の金武(きん)町伝統の獅子舞が会場を駆け巡り、出席者たちと賑やかな触れ合いをもった。
◎「第6回世界のウチナーンチュ大会」
今年10月26〜30日までの5日間、沖縄から海外移住した人やその子孫たちが世界中から集まって交流する。「世界のウチナーンチュ大会」は5年ごとに行われ、今年で6回目。前回は5300人が参加した大イベントで、毎回参加者が増えていることから、今年もより多くの参加が見込まれているという。川上事務局長はこの大会の趣旨について次のように羅府新報に話した。
◎「沖縄を学べる機会に」多彩なプログラムを要請ー國吉会長
今年の大会には県人会からおよそ100人が参加するという。國吉会長は「親戚にも会うことができるし、毎回この大会をとても楽しみにしています。ただ、いつも芸能関連のイベントが多くて、お祭り騒ぎで終わりがちなのが気になっています。県人会メンバーにとってもせっかくの機会ですので、他の国の県人会の人たちと交流したり、県民と話をして沖縄を知る機会を持ったり、歴史や基地問題について専門家の話を聞いたりしてもらいたいとも思っています。そうしたプログラムを組んでもらうために、私からも県庁にリクエストをしているところです」と話した。
また、沖縄語(ウチナーグチ)を含めた各国の先住民の言語をどう守って継承していくかを話し合うシンポジウムも大会期間に開かれるという。琉球大学の教授らが中心となって開催されるもので、元県人会長で沖縄語の講師でもある比嘉朝儀さんもスピーカーとして参加する。
会長としての大きなミッションとして、ピクニックやバザーといった恒例イベント、伝統の踊りや芸能活動だけでなく、沖縄の文化や歴史、基地問題について学ぶ場をつくることに力を入れている國吉さん。2年前から若手のジョーイ・カミヤ文化部長が中心となって沖縄戦の「慰霊の日」(6月23日)に合わせて勉強会をスタートさせている。沖縄とスカイプでつないで、前沖縄県知事の大田昌秀氏に講演をしてもらったり、県人会メンバーの沖縄戦経験者たちに話をしてもらったり。カミヤさんは今まで大会に参加したことはないが、今回は「世界中のウチナーンチュとの交流を楽しみたいし、沖縄の歴史、三線(さんしん)などの伝統的な音楽、米軍基地反対運動のことも現地で学びたい。とてもすばらしい経験になると思う」と参加を検討している。
國吉会長はこの5年に1度の貴重な大会が、県人会メンバーにとって少しでも実りあるものになることを願っているという。