プロ野球で通算525本塁打を放つなど輝かしい球歴を誇る、かつてのスーパースター、清原容疑者が逮捕された。容疑の覚せい剤所持、使用は、疑惑が数年前から報じられ、本人は固く否定していただけに、裏切られた感じがした。逮捕の一報を知って「やっぱり」と思いながら、周りの人たちが、支えられなかったのかと残念に思う。
 現行犯での逮捕時には「私のものです」と素直に認めたものの、薬物を入手した経路については、逮捕から10日以上たったが依然、口を閉ざしているという。他をかばうことをせず、社会復帰に向けて真実をすべて打ち明けて、一からやり直してもらいたい。
 現役時代の容疑者への薬物提供者は、同じ容疑で逮捕歴がある巨人時代の元チームメートとされていた。このたびの逮捕後、ついに実名が出て、野村氏本人がそのやりとりを生々しく証言。取り引きは、なんとクラブハウスで行っていたといい、恐ろしくなった。
 大リーグ入りを目指した野村氏を、アリゾナの春季キャンプで取材した私は、ピークを過ぎた33歳での挑戦を頼もしく思った。また、オリックス時代の後輩のイチロー選手が球場を去る際に、野村氏にあいさつに行き、驚いたのを思い出す。
 ニュースを通し見た現在の野村氏の姿は、マウンドで投げた面影は微塵もなく、ひげ面で、自宅の室内は物が散乱し、荒れ果てた生活ぶりは薬物による「後遺症」と想像できる。野村氏は、清原氏の更生について「難しいだろう」としながらも、自身の経験を踏まえ「子どもたちに野球を教えればいい」と助言した。それしか、ないと同感できる。
 逮捕を受けて多くの関係者がコメントし、高校、プロ時代の元同僚の桑田氏は、再起を切望する。ここ一番というチャンスに強く、数々の本塁打を打った大打者の活躍に例え「自分の人生で、きれいな放物線を描く逆転満塁本塁打を打ってほしい」とエールを送った。桑田氏の独特の表現に付け加えさせてもらうなら「サヨナラ逆転…」としたい。口で言うほど簡単ではないというが、薬物ともキッパリと決別してもらいたい。【永田 潤】

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