カリフォルニア州の最低賃金の引き上げ法案に署名したジェリー・ブラウン知事=4日、ロサンゼルス
カリフォルニア州の最低賃金の引き上げ法案に署名したジェリー・ブラウン知事=4日、ロサンゼルス

 カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事は4日、ロサンゼルス市を訪れ、加州の最低賃金を2022年までに時給15ドルまで引き上げる法案に署名した。同じくニューヨーク州でも同日、アンドリュー・クオモ知事が最低賃金を15ドルに引き上げる法案に署名。カリフォルニアとニューヨークの2州で最低賃金の引き上げ法案が成立した。【吉田純子、写真も】

 加州では先月28日、同法案をめぐり加州議会と労働組合が合意に至っていた。ブラウン知事が署名したことで、加州の最低賃金は現在の時給10ドルから、17年1月1日に10・50ドルに、18年1月1日に11ドルになり、その後毎年1ドルずつ引き上げられ、22年1月までに時給15ドルになる。
 在宅医療に従事する州政府職員は今後さらに3日間の病気休暇が与えられる。また従業員数が25人以下の小規模企業は23年まで1年の猶予が設けられる。

「最低賃金の引き上げは貧困と経済格差をなくすためにも歴史的な大きな一歩となる」と話したブラウン知事
「最低賃金の引き上げは貧困と経済格差をなくすためにも歴史的な大きな一歩となる」と話したブラウン知事
 政府の財政赤字の拡大や、雇用や小売業の減少で景気後退がみられた場合は、措置として知事に引き上げを停止する権限が与えられている。
 州政府によると最低賃金が引き上げられることで、加州の就労者数のおよそ3分の1に相当する約560万人の労働者の賃金が上がると予想されている。
 ブラウン知事は、「最低賃金で暮らす人々にとって長年の夢であった今回の引き上げ案は、子どもを養う家族の生活の質を向上させるだけでなく、道徳的観点からも必要な措置である。法案の成立は加州の貧困と経済格差をなくすための歴史的な大きな一歩となるだろう」と話した。
 現在加州ではおよそ220万人が最低賃金で働いている。夫婦ともに最低賃金で生活しているというアビーナ・アルゴさんは、「最低賃金が15ドルに引き上げられれば、日常生活で必要なものを買うことができるようになり、夫婦それぞれの部屋があるアパートでも生活できるようになる」と話し、同法案の成立を喜んだ。
 ニューヨーク州でも今月1日に、同州の最低賃金を現在の時給9ドルから15ドルに引き上げる法案を州議会が賛成多数で可決していた。
最低賃金が15ドルまで引き上げられることを喜ぶ人々
最低賃金が15ドルまで引き上げられることを喜ぶ人々
 最低賃金の引き上げの動きは、加州の各自治体でも進んでいる。LAではエリック・ガーセッティー市長が昨年6月、向こう5年間で最低賃金を時給15ドルまで引き上げる法案に署名した。
 LA市より先にサンノゼ市では15年1月から最低賃金が時給10・30ドルになり、サンフランシスコ市でも14年の住民投票で、18年7月までに段階的に15ドルに引き上げる提案が可決された。
 一方、最低賃金をめぐっては共和党やビジネス団体から、解雇の増加や失業率の上昇、ビジネスの縮小や物価の上昇なども起こりうるとして反対の声が上がっていた。
 しかし民主党など同法案の支持者らは、労働者の生活水準の向上が期待できるとして当初から賛成していた。
 連邦の最低賃金は7・25ドル。オバマ大統領は同日、「同法案の成立により、最低賃金で暮らす人々が子育てと仕事を両立しやすくなり生活の質も向上する」との声明を発表した。オバマ政権は時給10ドルまで引き上げる取り組みを行っているが、共和党やビジネス団体の反対を受け難航している。

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