大地震の発生から来週で1カ月がたとうとする熊本。1月は阪神大震災が発生から21年、3月は東日本大震災が発生から5年がたち、各所で追悼行事を行うとともに、復興の道のりを振り返ったばかりなのに「またか? 何で日本ばかり?」と、嘆きたくなった。
余震は、1200回を超えたという。スマートフォンを持ち歩いていると、ここアメリカでも熊本から地震発生の速報が入ってきて心が痛む。昼夜問わず、家屋や避難所の建物が大きく揺れるたびに、人々は怯えていることだろう。火事場泥棒が現われたといい、許せない。
被災者が今、最も必要とするのは義援金だ。東北の地震の際に世界中から支援が集まったのは、大津波が町を飲み込んだ、見るに堪えない凄まじい映像に加え、恐ろしい原発事故が報道され、大きなインパクトを与えたためであろう。
南加地区でも活発に募金活動が行われ、街角で呼びかけると募金箱は善意でいっぱいになり、チャリティーコンサートは1回で1万ドル超を集めることもあった。一方、今回はまだ数えるほどしか見られず、これからに違いない。ボランティアとアーティストの出番が待ち望まれる。
熊本には、自衛隊や他国からの救助隊に続き、満を持してボランティアが続々と被災地入りし活躍している。著名人の激励も心強く、1千万円を超える見舞い金を送ったり、救援物資を満載したトラックをはるばる東京から約750マイル走らせ駆けつけたことが報じられなど、一般の人々が賛同して支援をけん引しているに違いない。ただ、このような好意を誹謗(ひぼう)する心ない人もいるそうで、そのためか炊き出しに「お忍び」で行ったアーティストもいるのは、残念でならない。
慰問では、遂にあの人気者が登場した。同県のマスコットキャラクターで、県民のヒーロー「くまモン」だ。行く先々で歓迎を受け、被災した子どもやお年寄りに笑顔が戻り、それを見てホッとする人も多いことだろう。復興への道のりは果てしなく長いが、くまモンとともに歩んでもらいたい。そして、支援は忘れてはならない。【永田 潤】