講師の岡田信行さんによると、年に1度の野外撮影会はこれまで、LA近郊の公園や植物園、山で行ったという。クラスを開講して5年目の今学期は、生徒が一定の基礎を身に付けたため、写真愛好家に人気が高くまた、各自の腕前を確認する意味を込めて同公園が選ばれた。
東京都のおよそ1・5倍という広大な園内の見どころを回った。頭蓋骨に似た大きな岩や、ジョシュア・ツリーが多く立ち並ぶ5個所を抑えたが、撮影に没頭するあまりに、いずれも決めた時間を超え、生徒の写真に対する情熱が感じられた。また、そばや胃腸薬「正露丸」の主成分のクレオソートの実を初めて目にした人も多く、これらの植物やサボテンの花の接写を慣れた手つきでこなしていた。
生徒の高橋郁子さんはこの日、日本ではあまり見られない石灰岩とサボテンの花の撮影に夢中になった。「なかなかうまく撮れず、難しかった」というが「仲間と出かけ、先生からは逆光の撮影のコツなどを学び非常にためになった」と喜んだ。
高橋さんは、日本に住む写真愛好家の兄から撮り方を習っている。作品をEメールで送ると「構図などを指導され、批評は厳しい」というが「そういう会話がなかったので、写真のおかげで兄弟の仲がぐっと近くなり、お互いに喜びを感じている。写真クラスに入れていただき、感謝している」と述べた。
岡田さんは、このたびの撮影会について「生徒は構図や露出、ホワイトバランスを変えて、表現豊かに撮っていた。撮影をエンジョイしたのが一番よかった」と評価した。「普段のクラスで教えるには限界がある」というが、他方の野外撮影は「構図や露出を変えて、その場で仕上がりを確認し学ぶことができる」と撮影会の意義を強調。生徒の上達は「(11月開催予定の)展覧会に飾る作品を見てもらえれば分かる」と自信を示し、来場を呼びかけている。【永田潤、写真も】