岡田さん(右)から指導を受け撮影する生徒たち
岡田さん(右)から指導を受け撮影する生徒たち
 日系パイオニアセンターの教育プログラム「基礎の写真教室」で学ぶ生徒ら18人がこのほど、ジョシュア・ツリー国立公園に赴き野外撮影会を催した。生徒は、思い思いの表現で作品作りに励み、クラスで学んだ成果を発揮した。

 講師の岡田信行さんによると、年に1度の野外撮影会はこれまで、LA近郊の公園や植物園、山で行ったという。クラスを開講して5年目の今学期は、生徒が一定の基礎を身に付けたため、写真愛好家に人気が高くまた、各自の腕前を確認する意味を込めて同公園が選ばれた。

それぞれの表現で撮影する生徒たち
それぞれの表現で撮影する生徒たち
 生徒は、同じ被写体でも構図や縦横のカメラの構えを変えたり、露出調整で明暗を強調することで、表現の幅を広げ、クラスで習ったことを実践。サボテンの撮影は「(順光撮影後に故意に)逆光でも撮るようにし、暗くシルエット調にして、一本一本のトゲを輝かせるように」と指導されると、すぐさま実行し表現の違いを確認。「目の前の木や岩、山、空などは単体で撮らず、複数の被写体をフレーム内にうまく納めるように」といわれると、撮影位置を変えたりズームを駆使し、工夫を凝らしてパノラマ写真にする生徒も多く見られた。
 東京都のおよそ1・5倍という広大な園内の見どころを回った。頭蓋骨に似た大きな岩や、ジョシュア・ツリーが多く立ち並ぶ5個所を抑えたが、撮影に没頭するあまりに、いずれも決めた時間を超え、生徒の写真に対する情熱が感じられた。また、そばや胃腸薬「正露丸」の主成分のクレオソートの実を初めて目にした人も多く、これらの植物やサボテンの花の接写を慣れた手つきでこなしていた。
 生徒の高橋郁子さんはこの日、日本ではあまり見られない石灰岩とサボテンの花の撮影に夢中になった。「なかなかうまく撮れず、難しかった」というが「仲間と出かけ、先生からは逆光の撮影のコツなどを学び非常にためになった」と喜んだ。
サボテンとサボテンの花を撮影する生徒たち
サボテンとサボテンの花を撮影する生徒たち
 昨年の5月からクラスで学んでからは「何かを見ると、撮りたいという気持ちが沸くようになり、写真を学んで楽しくなった」という。それまでは「ある景色を見れば『きれいだな』と、思うだけだったけど今は、どのように撮って表現すれば、見る人にこの美しさを伝えることができるかを考えるようになり『見る景色が変った』」と語る。
 高橋さんは、日本に住む写真愛好家の兄から撮り方を習っている。作品をEメールで送ると「構図などを指導され、批評は厳しい」というが「そういう会話がなかったので、写真のおかげで兄弟の仲がぐっと近くなり、お互いに喜びを感じている。写真クラスに入れていただき、感謝している」と述べた。
 岡田さんは、このたびの撮影会について「生徒は構図や露出、ホワイトバランスを変えて、表現豊かに撮っていた。撮影をエンジョイしたのが一番よかった」と評価した。「普段のクラスで教えるには限界がある」というが、他方の野外撮影は「構図や露出を変えて、その場で仕上がりを確認し学ぶことができる」と撮影会の意義を強調。生徒の上達は「(11月開催予定の)展覧会に飾る作品を見てもらえれば分かる」と自信を示し、来場を呼びかけている。【永田潤、写真も】
生徒の作品は、11月に催される展覧会で発表される
生徒の作品は、11月に催される展覧会で発表される

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