25年前に禎子さんについてニューメキシコ州ロスアラモスの子どもたちが、授業で習って建てた平和祈念の碑がある。碑は、世界の子どもたちに呼びかけて1ドルずつ基金を集め、完成させた。その事実を知った曽原監督は「原爆が作られた町(ロスアラモス)の子どもたちが平和の碑を作ったと聞いてびっくりした」という。「その話と禎子さんの思いをミックスさせて、アメリカ人の子どもたちが世界に平和を発信するストーリーにしたいと思った」と、映画制作の経緯を説明する。作品は昨年、広島国際映画祭に出品され反響を呼んだ。米国での評価も高く「全米歴史社会科教師会アメリカンスピリット賞」を受賞した。
映画は、日本からLAに移り住んだばかりの小学5年生の主人公さとしは新しい生活に馴染むことができなかったが、級友そして、真珠湾攻撃の生き残りの退役米兵に、鶴の折り方を教えることで、友情を深めていく。さとしは、元兵士に頼まれ、ハワイの真珠湾の記念館で開かれる戦没者追悼式典に参加し、禎子さんの実兄の雅弘さんと出会う。禎子さんの遺品である折鶴を贈られたさとしは、禎子さんの遺志を受け継ぐ決心をする。
映画に出演したマーマン学校の生徒たちが授業で実際に折った鶴と、日米の有志から寄せられた折鶴の総数は3800羽となった。そのうちの千羽を広島、もう千羽をホワイトハウスに贈った。今回の平和教育プログラムでも参加者が鶴を折るワークショップが開かれ、折鶴でつなぐ平和の輪は広がりを見せており、禎子さんの思いが継承さている。
佐々木さんら講演会
小、中、高校を巡回
「禎子スピリット」を伝える
折鶴寄贈の記念イベントとして25日(水)午後6時半からトーレンスの「トヨタ・ミーティングホール」(3330 Civic Center Dr.)で、前述のゲストスピーカー4人が参加する平和講演会「さだこの折鶴『思いやりの心』」が開かれる。講演会は「夢折鶴プロジェクト」と「JERC」(日米教育サポートセンター)の共催。講演会の会費は、27日からの映画入場券を含み60ドル。電話での問い合わせはJERC、310・373・4888。
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禎子さんの折鶴は、トーレランス博物館(9786 West Pico Blvd.)と、小東京の全米日系人博物館に1羽ずつ寄贈される。両博物館では、曽原監督や佐々木さんがあいさつし、トーレランス博物館では参加者が鶴を折るワークショップが開かれる。
曽原監督は、昨年の第2次世界大戦終戦から70年の節目に合わせて同映画の制作を思いたち、制作の過程で数々の信じがたい偶然が重なったという。今回の米公開初日はまた、オバマ大統領の広島訪問と同じ日となり「広島と世界の人々の願いが届き、禎子さんのパワーを感じた気がする」と述べている。