IACEトラベルは、1970年にニューヨークで創業。北米主要都市に22支店を抱えるまでに成長したが、「地域密着の旅行会社」の方針は今も変っていない。長谷川大介・営業マーケティング部本部長によると、博物館への寄付は「日系社会に支えられてきた」という同社にとって、「社員の気持ち」とし、日系社会の礎を築いた先人への「恩返し」を込めている。寄付は2007年から始め、南カリフォルニアで営業する4支店が共同で、販売キャンペーンの売り上げの中から、ほぼ毎年行っているという。
高谷社長は、壁に刻まれた自社の名を確認し「胸にあつい思いがこみあげてきた。小さな努力が地域への貢献につながり評されて、たいへん名誉なこと。社員の努力をたたえたい」と話した。寄付については「われわれができることは限られているが、できる限り続けていきたい」と、継続の意志を示した。
館内を見て回った同社長。「旅行業は、天災を含め、戦火の影響を瞬時に受けるので『平和産業』と呼ばれている」と力説したのは、同館に先月末に寄贈されたばかりで、平和の象徴とされる佐々木禎子さんの折り鶴の展示を目にしたからで、その尊さをあらためて実感したようだった。
「日本文化と日系人の歴史を知ることができた。(IACEが行う)人と文化の往来(の手伝い)ができるのは、歴史があってのこと。歴史を伝える博物館に貢献できることは、ありがたい」と語った。同社の顧客は、多くが日米関係に携わっていることを説きながら、「日米間の往来は、単なる『旅行』ではなくて、歴史を刻んでいるという認識を持って、社員はそれを感じながら仕事ができればいい」と願った。【永田潤、写真も】