主催者を代表しあいさつに立った千葉総領事は、八戸について、まず観光として「本州最北に位置し、太平洋に面した海岸沿いの景色が美しく、あまり知られていない隠された場所」と述べた。食については「自然と海の幸の恵を受け、農業と漁業が盛んである」とし、長芋、イカ、サバなどの名産を挙げた上で「日本料理に欠かすことができないのが、伝統的な飲み物の酒だ」と力を込め、ブースでの試飲を促した。また、五輪で女子史上初の4連覇を果たしたレスリングの伊調馨選手の出身地とも紹介した。
小林市長は、八戸は青森第2の都市で、県南部の太平洋岸に位置し「暖流と寒流が交わるため豊富な漁場を持つ。カナダの東海岸と、ノルウェーの北海と並ぶ『世界三大漁場の一つである』」と強調。今回のプロモーションには、太平洋を回遊し一番脂の乗ったさばや、イカ、ホタテ、ズワイガニ、削り節などおいしい食材を持ち込んだという。それらが水揚げされた八戸漁港は「日本有数で、5本の指に入る」とし、国際的な衛生管理基準「HACCP」の認定を受けた加工処理施設を備えており「安全でおいしい食材をお届けすることができる」と、胸を張った。地酒については、丹波、越後とともに八戸がある南部は、日本三大杜氏に数えられるといい、今春開かれた権威ある国際コンテストの「IWC」の大吟醸部門で金賞を受賞した「八戸酒造」のブランド「陸奥男山」を一押しした。
創業1775年の老舗の蔵元「八戸酒造」専務取締役の駒井秀介さんによると、同社の売り上げは地元青森県では落ちているが、首都圏を軸に関西ほか地方の酒専門店に卸すことで、販売網を全国に広げているという。一方の輸出は、売り上げ全体の2・5%ながら着実に伸びており、取り引きは最大消費の米国をはじめ、台湾、シンガポール、タイ、ブラジル、イタリア、中国の9カ国におよぶ。10数年前に参入した米市場は、他国と比較し「市場がとても大きい。ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルなどとエリアも広い」と魅力を強調する。日本酒は、和食とともに飲むのが一般的だが「アメリカンスタイルのレストランや、フレンチ、イタリアン、メキシカン、中華など、他国の料理と一緒に飲んで、楽しんでもらって広がればうれしい」と願う。米国では、日本酒のブランドはまだ確立されていないと指摘し、自社のブランド「陸奥八仙」と「陸奥男山」の周知には「プロモーションが大切で、われわれの日本酒づくりに対する思いを伝えて、飲んでもらい、味を知ってもらってファンを作りたい」と、抱負を述べた。
八戸からの訪米団は、ガーデナの日系スーパーマーケットで3日間にわたり催された「八戸フェア」に参加した。200種類に上る八戸産の水産品と地酒などを買い物客に紹介した。【永田潤、写真も】