今回、特に力を入れたのがハーモニーだ。新原さんによると、ハーモニーは「インテンポ(正確な速度)を保って歌わない限り、色彩豊かに奏でることはできない」と、習得の難しさを強調する。さらに「たとえ音が取れたとしても、共演者それぞれが他を尊重し、歌に対する考えを一致させない限り、ハーモナイズされない」と言い切り、チームワークの重要性を説く。生徒は2人または3人が1組になって、指導された通りに、心を通じ合わせて歌い上げ、大きな拍手を受けた。
観衆との合唱は、被災者を励ます応援歌としてよく歌われる「花は咲く」を披露し、一日も早い復興を祈った。ショーは生徒の発表に加え、慈善の目的も兼ねており、主催者のLA歌謡クラブは毎回、イベントの収益の中から寄付を行っている。今年は、被災地熊本に1000ドルを贈り席上、贈呈式を行い、南加県人会協議会会長のジョージ森さんと、南加熊本県人会会長の沖田義邦さんにチェックを手渡した。義援金は、熊本県人会を通し、被災地へ送られる。
沖田さんは「震災から約7カ月が経過したが、LA歌謡クラブと日系社会のみなさんは、熊本の被災を忘れないで寄付してもらい、本当にお世話になってい
ショーを終え、新原さんは「レッスンでいっぱい怒ったけど、譜面を読むことができない生徒が、頑張って付いてきてくれた。アマチュアらしく元気に歌ったので100点をあげたい」とたたえた。「結果的に『できた』、『できなかった』は問題でなく、目標に向かって突き進んだチャレンジ精神を認めたい。何よりも生徒が『やってよかった」という気持ちを持ったことが、うれしい。指導者冥利に尽きる」と、達成感に浸りながら話した。
ハーモニーについては「ただでさえ難しいのに、声のトーンを合わせ、音の重なりと音の波長を同調させることに気を配りながら『次は、あなたの番よ』『ここは、みんなで』などと、相手を思い遣る気持ちを最後まで切らさなかった」と評価した。「ハーモニーができたら、ソロにもつながる」と力を込め、「相手の声の質を感じたり、ピッチの取り方など、ソロで歌っただけでは気付かないことを身に付け、自信を着けたことだろう」と話した。「今年のショーで、すごく手応えを感じたので、優しさや力強さなど、フィーリングの表現を伸ばしたい」と抱負を述べ、生徒の個性を生かした指導を施す考えを示した。【永田潤、写真も】