4席披露した野本宗智社中のメンバー15人は、日中韓系、ベトナム系、白人の米国人、英国人で構成し、野本師は「とても国際色豊かなメンバーなので、おもしろい社中」と紹介する。師匠と門弟全員は英語を母国語とするが、稽古では日本語でも教えるといい「バイリンガルの生徒を育てたい」と願う小泉師が期待を寄せる理由がうなずける。野本師は「お茶は日本が起源なので、日本語でも学べば、より深く伝統文化を理解することができる。敬語はとても難しいが、生徒は意欲を持って稽古している」と説明した。
野本社中で13年修業するブリット・ブースさんはこの日、立礼席で半東を務めた。この日に備え1週間前から練習したという日本語で説明しまた、客の茶道具などの質問にも、きれいな発音の日本語で立派に受け答えた。日本語は学生時代から通し20年習っており今も、オレンジコースト学園に通っているといい、京焼の作者
金屏風の隙間から弟子を見守った野本師は「外国人にとって異文化を習得するのは、とても難しい」と強調した上で「着物を自分たちで着て正装し、とても熱心に行った稽古通りに、よくやってくれた。弟子たちを誇りに思う」と評価した。社中が用いた茶碗は、バレンタインズデーに合わせたハート形で、米国人ならではの発想は「珍しい」「いいアイデアだ」などと、客を喜ばせていた。
小泉師は、初茶会について「遠方からよく来ていただき、みなさんのサポートがあって無事終えることができた」と感謝した。弟子、孫弟子のもてなしについて「心配してじっと見ていたが、みんな一生懸命やってくれた。お客さんから『おいしい』と誉められた生徒はやりがいが出て、これからの稽古の励みになり、いい茶会になったと思う」と述べた。【永田潤、写真も】