最近の日本の若者は覇気がなく、外国へ出てみようとか冒険する気持ちがないと聞いていたが、今年出会った若者たちは、かつての若者と同じ冒険心を持っていた。ヒッチハイクでアメリカを横断しようと無謀な計画で来た二人組、全く地理が分からないのに行き当たりばったりに安ホテルを探して泊まり歩いていた若者。危なっかしくはあったが、若者の特権でもある。無謀な冒険ばかりかというと、礼儀正しいところがあって印象が良かった。無事に帰国したという連絡をもらって、一安心。
 そして、うれしかったのは、全米日系人博物館のことを話したら、行かないで帰ったら後悔しそうと、寄って行ったこと。観光客に勧めても、今回は時間がないとか、後で…と濁されることが多いので、清々しい気分になった。
 彼らが生まれる以前の時代は、テレビや雑誌で海外の様子を知った。今のようにSNSで簡単に世界とつながるなど、考えられなかった。国際電話も一般的ではなかった。中高生の当時、雑誌にペンパル募集を目にしたものだ。英語の勉強になると、文通していた人たちがいたが、中には結婚までいった人たちがいた。知人の中にもいるが、海外旅行も簡単ではなかった時代に、見知らぬ土地に渡ってくるなど冒険だったと思う。
 ワイン王といわれる長澤鼎と一行が薩摩から渡ってきた時代は、全く日本人を見たことがない人たちがほとんどの外国へ行くという、危険な冒険だったはずだ。冒険の自覚はなかったかもしれないが、彼らの勇気が後世に伝えた功績は計り知れない。
 見聞したことを自分の中で消化して、生活する社会の中に生かしていけばいい。実際に体験したことは、テレビなど他から得られる情報と同じではないはずだ。いいところだけを見ての憧れとは違うだろう。それを、周りにも伝えて日本の良さを再確認したり、改善すべきところが見えたら、変えて行ったらいい。
 かくいう自分も、この独立記念日の休みにジェットスキーを初めて体験した。私たち夫婦には冒険だったが、水しぶきを浴びて、川面の風は涼しく、気持ちよかった。110度の気温を忘れる一時を楽しんだ。【大石克子】

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