北朝鮮のロケット打ち上げをめぐって米朝間で激しい言葉の応酬が続いています。「もっとも強い言葉で非難する」とか、「史上見たこともない残虐な攻撃を加える」とか今までにない言葉が飛び交っています。やがて「ロケットマン」「ならず者」とか売り言葉に買い言葉、激しい非難の応酬は留まるところを知らず、両国民の心に憎しみや攻撃の感情を増幅して、やがて不測の事態が勃発して戦争が始まらないとも限りません。両者の言葉は、とても一国の指導者が公の場で口にする言葉とは思えません。
 ギリシャやローマ時代の政治家の演説は、いかに聴衆の心に届くかに気を配り、格調高く言葉を選び練っていました。また、日本は古代から言葉を大切にし、言霊を信じた民族です。和歌を詠み、天皇から農民や防人まで、良い歌は賞賛され愛されてきました。良い言葉は人々の心を捉え浄化し、悪い言葉は自分も他者も傷つけます。そんな言葉に敏感なはずの日本でも、国会や選挙演説では実に激しい言葉での非難合戦が行われています。政治家は非難合戦ではなく、もっと分かりやすく自分の信念と、国民に夢と希望を与える明確なビジョンを示してもらいたいものです。
 日本では与党に幾つもの不祥事が続き、首相は野党の体制が整わないうちにと急きょ衆議院を解散しました。選挙はすでに終盤戦、各候補者は熾烈な選挙戦を戦っています。米朝の非難合戦に加え、一帯一路の政策を掲げて強固な独裁体制を固める中国、クルド人やスペイン・カタルーニャ州の独立住民投票などなど、国際社会が激しく流動しています。国内では、憲法改正、社会保障制度のあり方、消費増税など多くの重要案件が争点で、国の行方を左右する選挙です。
 このような情勢下、海外の有権者は在外投票でどんな結果を示すのでしょうか? 10月22日が投票日、在外投票はその数日前が締切日、急な解散で郵便投票が間に合わない有権者も多いことでしょう。外国からは日本はどのように見えるのか、在外投票の意義は重要です。できるだけ多くの人たちが投票し、海外からの意見を投票結果に示してほしいと願っています。【若尾龍彦】

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