今季29年ぶりにワールドシリーズに進出し世界一をかけて戦ったドジャースが、あと一歩のところで力及ばず涙をのんだ。死にものぐるいで声援を送り、残念な結果に落胆したファンの心の痛みは、敗戦から1カ月経ちようやく癒えたころで、来季に気持ちを切り替えていることだろう。
 来季といえば、この時期は選手の契約交渉が気になる。日本人ファンが最も注目する選手は、イチローでもダルでもないはず。そう、投手と打者の二刀流を引っ提げ、海を渡る大谷だ。
 日本で証明済みの二刀流だが、メジャーは過密日程など、諸事情のため疑問の声が聞かれた。そんな中、契約交渉の代理人は二刀流の実現を目指すと高々と宣言。大谷の争奪戦は二刀流ありきで、交渉が進められそうだ。二刀流には、野手として守備に就かず打撃に専念できる指名打者が使えるア・リーグが適していると分析する専門家が多い一方で、指名打者のないナ・リーグの方が打席数が増える考えもうなずけ、ワクワクする。
 これまでポスティングを利用した松坂、ダル、田中は破格の契約金を提示され、獲得はお金持ちの数球団に限られた。だが、今回は多くの球団にチャンスがあるという。その訳は労使協定で、いろいろ事情があるらしく、現在23歳の大谷は規定の25歳に満たないため、契約金がメジャー最低保障程度になるからだ。
 金銭面で条件に雲泥の差がある2年後を待たずのメジャー挑戦だけに、希望する投げて、打ってのプレーがしやすい条件が決め手となりそうだ。大谷獲得に意欲満々のヤンキースは、交渉に田中を使うのでは、と地元紙は予想している。ドジャースにとって強敵だ。大谷がトレーニング方法を習い、崇拝するダルビッシュはFAのため、もはやドジャースの支配下ではないのが、LA在住日本人には痛い感じがする。
 入団するチームは、来月22日には決まるといい、少年時代から夢を見て努力を重ねた大谷にとって最高のクリスマスプレゼントとなる吉報に期待を寄せよう。【永田 潤】

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *