来月9日、4年に一度の冬季五輪が韓国・平昌でいよいよ始まる。開幕まで2週間を切り、高まる五輪ムードとは裏腹に、分断されたままの南北朝鮮2国の政治絡みの話題が、ウインタースポーツの祭典に水を差している。北の参加を巡ってだ。
開会式は南北が、醜い38度線がない半島を描いた統一旗を掲げ、2006年以来の合同入場行進する。女子アイスホッケーでは五輪初の南北合同チームが結成され、国歌の代わりに朝鮮民謡「アリラン」が流される。韓国は五輪出場権を得たのに対し、北は予選で敗れたため韓国チームに加入する特別枠で出るという。
北の核実験やミサイル試射など緊張状態は、われわれ日米が関係するだけに、南北が融和を図ることはいいことだ。こう思った。だが、外から入ってくると、韓国選手の出場機会は減ることに気づかなかった。さらに合同チーム結成は、主役の選手たちに説明がないまま決まり、選手は「失望している」「残り1カ月もないのに…」「傷つき、士気が下がった」などと、複雑な胸の内を吐露。
だがスポーツウーマンらしく「練習に専念し、オリンピックでベストを尽くす」といい、必死に気持ちを切り替えたに違いない。北の選手も同様に政治に翻弄されていることだろう。見る側は巻き込まれずに、ゲームの応援に専念してほしい。
今五輪には地元LAから、フィギュアの長洲未来が出る。17歳で選ばれたバンクバーでは堂々の4位。次のソチは惜しくも代表から漏れ、大粒の涙を流した。悔しさを糧に並々ならぬ精神力を維持、2大会ぶりに五輪の切符を手にした。初の五輪後に取材した時「まだまだ子どもなので、大人の滑りをしたい」と抱負を語っていた、かつての可愛らしい少女はもう24歳。「ミライちゃん」とは、もう呼べない年頃で「大人の滑り」を見せてくれるのを楽しみにしよう。
われらの日本は、スケートがフィギュアとスピード、スキーはジャンプ、複合、モーグル、スノーボードでメダルが期待できるようだ。「がんばれ日本、がんばれアメリカ、がんばれ南北合同チーム、がんばれ未来さん、みんながんばれ」【永田 潤】